(ああ雨が降ってるな、しかも肌寒い)いつものことかと思い直したが、気持ちは沈む一方。こんな日は美味しい紅茶でも淹れて本でも読んで静かに過すかとキッチンに向かう途中で、ふっと外を見ると庭の木が雫を滴らせながらいつもと寸分変わらない場所にたたずんでいる。(変わってても困るんだけどな)
お湯が沸くのを手持ち無沙汰で待っていると玄関がノックされるのが聞こえてきた。ここに尋ねてくる人は限られているので誰だろうと来そうな奴の顔を巡らしながらドアを開けると世界で一番見たくないやつがいた。


「よう・・・・って閉めるな!」

「放せよ!テメェ何しに来やがった!!」


おもわずドアを閉めようとすると、諸悪の根源が閉めさせまいと必死にドアを押さえている。(クソッばか力め!!)


「ちょっと近くまで来たから顔見に来たんだよ。寂しがってねぇかなって思ってな」

「・・・―――ついでかよ」

「ぷっ・・・・って、いっってー!!手挟んでる挟んでる!笑ったのは悪かったから力入れんなって!」

「・・・っち」

「おおいてぇー、お前マジで閉めようとしてたろ」

「当たり前だ。何でお前なんかを家に入れなきゃなんないんだよ」

「ひっでのー。で、閉めるの止めたってことは入ってもいいんだよな?」

「ふん、勝手にしろ」


確認を取っているくせにニヨニヨ笑っている顔は微塵たりとも断られるなんて思っていない。それを見ているとやっぱり入るなと言いたくなるけど、言ってもどうせ何やかんやと言い訳を並べて入り込んでくることはわかっているから無駄な労力を使う前にこっちが引いてやった。(さっきのドアでのことは反射だ!)


廊下を歩いている最中、いまだに気持ち悪い笑いを浮かべている客とは呼べない変態の闖入者の視線が背中に刺さっているのが我慢できなくなり、文句を言おうと振り向いて口を開いたら先を越された。


「なぁ、ついでなのは用事のほうだからな。お前が本命」

「は?」


最初何を言っているのかわからなかったが、ドアで自分が言ったことだとわかると顔に血液が集まってきた(気がする・・・)


「顔真っ赤」

「うるせぇ!!」








雨が降る日は隣にキミ

「そういえば、何か焦げ臭くね?」
「あっ!ケトル忘れてた!」





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後書き
この後は英の美味しい紅茶と兵器なお菓子で二人仲良く??お茶です。
寂しいくせに寂しいって言えなくてお前なんて帰れって仏に怒鳴ってる英がめっちゃ好きvv

2007/10/04