02.半泣き




「本当に観んのか?」

「んー何だお前怖いのか?」


本当は怖がりなのを知っていて、わざとホラービデオを持ってきたのだ。こいつは妖精やらユニコーンやらは平気にくせに幽霊はダメらしい。本人は隠してるつもりで隠しきれてないところがかわいいなんて思ちゃってる俺は相当キてるな。


「怖くねぇよ!!本当はお前がビビッてるんだろ」

「―――・・・そうそう実はすっげービビッてるんだけど、どうしても観たいんだよ。だからさーいっしょに観てくんね?お前別に怖くないんだろ?」


すこし情けない表情をしてやるとコロッと騙されてくれる。


「しゃーねぇから観てやるよ」

「ありがとな」

「べ、別にお前のためじゃなくて俺が観たいだけなんだからな!!」


そう言ってプイッと横を向いたが耳が赤くなっていたので照れているのがバレバレだ。
(まったくーこれでわざとじゃないってどんだけお前かわいいんだよ。マジで今すぐ襲っちまうぞ!)












「ひっ・・・」

「っ・・・うっ・・・」

「ぎゃっ!!」


何か出てくるたびに声をあげているイギリスは、それでも先が気になるのかテレビに全神経が集中しているようだ。
そして俺はというと、テレビなんかちっとも集中できない状態にある。なぜなら半泣きになっているイギリスが無意識にか俺の服のすそを握っているからだ。しかもほとんど密着している状態で。(お前それは反則だっつーの!いいかげん襲うぞ!)


結局ビデオの内容なんてほとんど見ていなかった俺は一人ぐったりしていたのであった。
(からかうつもりで持ってきたビデオで自分の理性の限界に挑戦するとも思わなかったよ・・・)





<<back




title by:あなぐら

後書き
この後どうなったかはみなさんの想像にお任せします・・・

2007/10/07