07.はつ恋の刷り込み



「いい加減告白したら?」

「は?何の話?」

「あんたっていっつも似たような男選ぶわよね?」

「そうだっけ?あんまり意識したことないや」


んー考えてもわからない。同じようなのばっかしってことは、それが私の好きなタイプ?


「その相変わらずの無自覚そろそろ鬱陶しいんだけど」

「えっ?鬱陶しいってひどい・・・ってか、私の何が無自覚なの?」


今まで付き合った人のことを思い浮かべても、共通点があまりわからない。
無意識で同じような人選んでるってことなのかな?それが鬱陶しいの?


「何で気づかないのかしら?鈍感なのもここまでくると凶器ね」

「鈍感?さっきから何の話をしてるのかよくわからないんだけど」

「はー・・・自分で気づくまで放置しようって決めてたけど、いい加減こっちがじれったいから言うけど、マルコのこと好きでしょう」


疑問形ではなく断定されちゃった。いや、そらー


「マルコのこと好きだったのは昔のことだし、今は別に何とも思ってないよ」

「だから、それをさっさと自覚しなさいと言ってるのよ。、あなた今でもマルコが好きなのよ」


だから何故にあなたが断定しちゃってんですか?そんなもんとっくの昔に終わってるのに・・・
まぁ、何て言うかあれがたぶん初恋だったと思うからそれなりに記憶には残ってるんだけど、それは記憶に残っているだけで思い出ってものになっちゃってるわけですよ。


「うん。それは勘違いだよ。気の所為」


って、痛いっ!
思いっきり頭どつかれた。ちょっとへっこんだ気がするんだけど。


「へっこむわけないでしょ。バカなことばっかり考えてるあなたの頭なんかちょっとぐらいへっこんだ方がいい気がするけどね」

「うぅ・・・何で今日はそんな毒舌なのさー?」


いつも決してそこまでお上品ってわけじゃないけど、今日はいつもに増してやたら毒舌なんですけど?


「あんたが鬱陶しいからよ。もういい加減この話はいいわ。余計腹が立つ」


そのまま「じゃあね」と出て行った。
ほんと今日はどうしたんだ?私がマルコのことが好き?・・・わからん!


「ああー・・・うーん・・・」

「奇声発してどうしたんだい」

「いやー、べつ・・・って、えぇ!?マルコ!?」

「驚きすぎだろい」

「いや、だって・・・こっちにも色々あるの!」


さっきまで変な話をしていたせいか、まともにマルコの顔を見れない。
目が泳いでるのが自分でもわかるし、行動だって挙動不審そのもの。マルコはあきらかに「お前大丈夫か」みたいな目で見てきている。
うん。大丈夫じゃない。心臓がめっちゃ速いビートを刻んでるよ。誰か救心ください。


「色々ね。んで、用って何だい?」


マルコはそう言って私のベットに腰かけた。(まあ、他に座るところがないだけなんだけどね)
そのおかげか、更に心臓の鼓動が速くなった気がする。


「ん?用?どう言うこと?」


私、特にマルコに用事なんてないんだけど。呼び出した覚えもない。


「ここに来る前にナースからの部屋行けって言われたんだよい」

「・・・あー、気にしないで。うん、気にしちゃダメ」

「気にすんなって意味わかんねぇよい」

「だから、気にしちゃダメ!きっとその子の勘違いとかそんな感じだよ!」


もしかして、ついさっきまで話してた内容か!?私がマルコを好きだというあの話のことですか!?
うぅ〜だからって、ここにマルコを呼びよせなくてもいいじゃない。本当にわかんないだから・・・
私がマルコを今でも好き?

じーっとマルコを頭の先から足の先まで観察して考えてみた。
確かにかっこいい。それは昔からいやってほどわかってたことだし、今さらいうことでもないか。


「何だ?急に黙ったと思ったら人のことをジロジロみて」


あまりの挙動不審っぷりにマルコが非難の声をあげたわけんだが、私はそれどころじゃなかった。
さらにさらに色んな事を考えてみたり、今までのことを思い起こしてみたりしてたら、心臓があり得ない速さで動いてる。顔にも熱が集まっている。
どうしたんだ?いや、そんなこと自問自答しなくても答えなんて出ているんだけど。「やっと気づいたの?遅すぎる」って友人には言われるかもしれないけど、だって仕方ないじゃない!何が?って聞かれたら答えられないけどとにかく仕方がないの!


「おい、本当に大丈夫か?顔赤いぞ」

「わー!!大丈夫、平気、ちょー平気!!」


私を心配してか至近距離から顔をのぞきこまれたものだから、思わず大声をあげてしまった。その大声を文字通り目と鼻の先で聞いたのでのけぞっているマルコは相変わらずかっこいい。いやだから!それはおいといて!今はどうやってこのピンチを抜け出すかが問題だ。
片手を団扇のようにして顔を仰ぐ。


「本当に何でもない!あっそうだ、私用事あったんだった。ちょっと行ってくるね」


「じゃあね」と椅子から立ち上がった。
なのに、立ち上がったはずなのに、私は今ベットにの上に横たわっている。目の前にはマルコの顔。
顔の熱が少し引いたのにさっき以上に今は赤くなっているはず。だって、マルコのドアップだよ!
手は両方ともがっちしベットに縫い付けられている。元々あまり働かない私の頭は、急展開で全然回ってくれない。


「まあ、ちょっと待て。やーっと気付いたんじゃねぇのかい?これ以上待たされたら襲っちまおうかと思ってたよい」


そう言ったときは最高にエロい顔をしていた。
あわあわと何を言っていいかわからない私にマルコはふっと笑ったかと思うと耳のすぐそば、息のかかる距離に唇を寄せた。


「愛してる






<<back




20100407:Desire/マルコオンリー企画サイト様提出
20110203:up