[私、保健(不運)委員じゃないんですけど!]の帰った後の話。
「あー疲れたぁ・・・」
「お疲れ様。それにしても何でそんなに疲れてるのさ?金閣寺まで届けものしただけだよね?」
「そーなんだけどね、何か色々あったの」
私はあの無駄に疲れたお使いから帰ってきて、伊作と留三郎の部屋で大の字になって寝ころんでいる。
「女の子なのにそんな格好しない」とか「ここ忍たまの長屋なんだけど」とかそんなことは1年の頃から言われ続けているので、今さら聞く気にもならない。もちろんそんなことは伊作も従順承知で一応言っているだけなのだ。
「へーけど珍しい。だったら難しい任務も余裕で帰ってきてるからね」
「何かいっつもの道が土砂崩れで通れなくて遠回りしたら合戦上だったの。それ以上は遠回りする気になれずに突っ切ったわけなんだけどねー」
そう言うと伊作はちょっと眉毛を釣り上げて私の身体を見てきた。
「怪我は?相変わらず無茶ばっかりするんだから。もうちょっと考えて行動したら?」
「伊作さーん、それじゃまるで私が考えなしの馬鹿みたいじゃなの?どっかの体力馬鹿の暴君じゃあるまいしちゃあんと考えて行動しーてーまーすー」
「どうだかね、どうせのことだから時間がかかったら仙蔵にでも嗤われるとか思ってたんでしょう」
どんぴしゃかよ、腹黒野郎め。
「図星だからって拗ねないの。心配するこっちの身にもなってよね」
「はいはい、分かりました。私が悪かったですよーだ」
「まぁ、言い方は別としてちゃんと反省しているみたいだから、この事は他の人には黙っておいてあげる。がまた無茶をしたって聞いたら心配するやつが多いからね」
「心配ぃ?馬鹿にするの間違えじゃないの?もしくは説教のいいカモ」
「そう思いたいんならそういう事にしておくけど、本当に無茶は控えてよね」
「・・・たぶん」
今度は困ったように、まるでわがままを言って駄々をこねている子供に言い聞かせるような表情でそんな事を言うものだから、素直に頷く気になんてなれない。
それに、今回のことは後悔してるけど同じような状況になれば私はきっとまた同じことをしてしまうと思う。
だって、仙蔵のあの嗤いだけには耐えられない!
私の考えが分かったのか伊作は大きなため息を一つこぼし『仕様がないなー』と言う顔をした。
少し気まずくなった私は話題を変えるため、戦場であった迷惑な組頭の話をしてみた。
「あーそう言えば、その合戦場で変な忍者に会ったんだ。会ったというか現れたと言うべきなのかもなのだけど。何でもタソガレドキ軍の忍び組頭らしいんだけど部下に思いっきりチョップされたりしてたの。変でしょー?」
「え?タソガレドキ軍忍び組頭?」
「そう、雑渡昆奈門さんって言うらしい。自分から名乗ってきたもんだから、そんなんでも組頭か!って思った。つでに忍術学園に忍びこんだとか言って私のこと知ってた」
「はぁー・・・あの人は本当に何してんだか・・・」
伊作はさっきのため息より大きく息を吐きだした。
しかも『やれやれ』感じのジェスチャー付きで。
「伊作知り合い?」
「うん、一応ね。確かに忍術学園にはよく忍びこんでるよ」
「何でそんなこと知ってんのよ」
「だって目的地は保健室だからね。ちょっと縁があって知り合ってからはちょくちょく出没してるんだよ。お陰で保健委員一同は顔見知りなわけ」
「うぇ〜そうなんだ。あんまり保健室に近寄らないことにするわ」
「馬鹿言わない。今までだって必要最低限以下しか来なかったのに、これ以上来なかったら怒るから」
ちょっとした怪我なら放っておけばそのうち治るし、まぁもうちょっとアレな怪我でもね、・・・
いや、決して面倒くさいとか怒られるとかじゃないんだから!本当に!
「うっ・・・スミマセン・・・」
何か出てる。伊作後ろから何か出てるよ!
その後、結局留三郎が帰って来るまで説教が続いた。と言うか伊作がこの話を留三郎に話して、何でか二人でお説教しやがった。
伊作は黒いし留三郎はケマケマしいしいい加減にして!
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後書き
2009/7/4