君がいるだけで十分だ
「ぐっ・・・」
「大丈夫!?クラトス!」
「このぐらいの傷たいしたことはない」
戦闘中、私のすぐ目の前でクラトスが敵の攻撃を受け胸から大量の血を流している。その敵がクラトスに止めを刺そうと構えていたのを背後から一突きで倒し、あわててマーテルを呼ぶ。
「うそ!すごい血出てる!!はやく傷ふさがないと。マーテル、クラトスが!」
「ファーストエイド―――」
「すまない」
「そう思うならこれからはこんな怪我しないでちょうだいね」
「ああ、気をつける」
二人の様子を見ているともやもやしたものが胸に溜まってくるのがわかる。
別にマーテルに嫉妬しているわけじゃない。マーテルにはユアンがいるし、二人がラブラブなのは周知の事実だ。
「・・・―――」
思わず重苦しいタメ息をついてしまったがクラトスがこっちに歩いてくるのが見えたので、また出そうになったタメ息を飲み込んだ。
「、心配かけてすまなかった」
「ううん、私こそ何にもできなくてごめんね」
「そんなことはない。のほうこそ怪我がなくてよかった」
「うん、ありがと・・・」
私たちがぐずぐずしていたらしく、ミトスは痺れを切らして声をかけてきた。ミトス含む3人はとっくに歩きだして私たちから50メートルは離れている。
「二人とも何してるのーはやく行くよー」
「ああ、すぐ行く」
「はぁー」
さっきからはタメ息ばっかりでみんな心配そうな目をちらちら向けている。(もちろん私もすごーっく心配よ)
「どうしたんだろうね。上の空だしタメ息ばっかり」
「本当ね。クラトス心当たりは?」
「なぜ私のなのだ?」
「あら、のことなら彼方に聞くのが常識じゃなくて?」
のことはクラトスに聞くのは私たちの中じゃ常識になっている。(でも、クラトスはまったく鈍チンですもんね〜)
「はぁー、意味がわからないな。今、があんな状態になっている原因はまったく心当たりがない」
「そう・・・」
「おい、もしかしたらだが心当たりがないでもないぞ」
「何?ユアン知ってるの?」
「ああ、というかクラトスお前本当に心当たりがないのか?」
「ん?何だ私に関係があるというのか?」
「たぶんだが先ほどの戦闘で酷い怪我をしただろう?」
「ああ、したがもう問題ない」
「そういうことね。相変わらずは気にしすぐね」
「本当だね。ついでにクラトスは鈍感すぎ」
「むっ、私は鈍感などではない。だいたい私が怪我をしたこととがああなのがどう関係あるというのだ?」
「はぁー、まったく・・・お前が目の前で怪我をしていながら自分は何も出来ないということが嫌だったのだろう」
「はい!原因がわかったところでクラトスはのとこに行ってくること」
「む・・・」
クラトスに追っ払うようにのところに行かせた。(こうでもしないと動かないからね)
「」
「はぁー・・・」
「」
一回目の呼びかけは聞こえていなかったのか、タメ息をついて一人黙々と歩いている。二回目を呼びかけると同時に肩を掴んでこちらを向かせた。
「にゃっ!!」
「すまなかった」
「へ?何、どうしたの急に?」
「は十分すぎるほどだ。例え回復術が使えなくとも守ってくれただろう」
「・・・―――クラトス」
「だから、お前が落ち込む必要などない」
そう言ってを抱きしめた。
抱きしめたは私の胸の辺りに顔をうずめるようにぴったりとくっついてきた。
「クラトスありがと。私出来ない事いっぱいあるけど、私が出来ること精一杯するね」
「ああ」
その頃の3人〜草むらの影から〜
「まったく手のかかるやつらだ」
「ほんとだよねークラトスは鈍感だしは思ってること口に出さないからすっごいもどかしいよ」
「ふふふ、このまま押し倒せばいいのにクラトス」
「「(マーテル)姉ぇさん!?」」
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後書き
マーテルさんは黒希望です。ユアンは絶対苦労人だね(笑顔
2007/10/14