10.伸ばされた手のひら
「ねぇ、ヒマなんですけどー」
「そうか」
「ついでにお腹も減ってきてるんですよー」
「そうか」
「・・・今日雨らしいですよ」
「そうか」
ちなみに今のお空模様は雲ひとつない晴天だ
「・・・・・・江神さん、人の話し聞いてます?」
「そうか」
「町まで逆ナンしに行ってきます」
「あかん」
「って聞いてるんかい!」
私は別に関西人でも何でもないけど、つい関西人風にツッコミを・・・
「もぅ聞いてるんならまともに返事してくださいよ」
「返事やったらしとったやろ?」
「適当なのをね―――最初に戻りますけど、すっごい私ヒマなんです」
「そうか」
「ああ!また流し始めた!いい加減にしないと本当に逆ナンしに行きますよ!」
「それはあかんって」
「じゃあ、かまってくださいよ。せっかく遊びに来たのに本ばっかり読んでたらつまんないです」
「その辺にある本読んでいいよ」
「私はここに本読みに来たわけじゃないんですけど・・・」
「そうか」
「・・・いい加減、私も我慢の限界です!この部屋の本全部燃やしますよ!?」
怒鳴りつけるのと同時に、江神さんの持ってる本も取り上げてやった
「それは困るなぁ」
「全然困った顔じゃありませんけどね」
「そんなにかまってほしいん?」
「もちろん。って言うかそうじゃないとここに来た意味がありません」
「それやった仕様がないな」
視界が反転した。
背中には畳の感触がするし、目の前には江神さんの笑み。
「って何でこうなるんですか!?」
「かまってほしいんやろ?」
「っ・・・けどそうじゃなくて!」
「それやったらどんな風に?」
「えっと、おしゃべりするとか色々あるでしょ」
「しながらでもしゃべれるで」
「出かけるとか!!」
「外でしたいん?」
「違うわ!!」
「わがままやなぁじゃあどうしたいんや?」
「いやいやいや、私はいたって普通のこと言ってる気がするんですけど」
「俺も恋人同士やったら普通のことしようとしてるんやけど」
「・・・はぁーわかりました―――私の負けです。けど、せめて夕ご飯ぐらいはどこか食べに行きましょうね?」
「そうやな。にそんな体力があったらな」
そう言って、綺麗に微笑んだ彼は私の頬に手を伸ばす
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2008/8/25
clap up:2008/1/18
お題配布:byL*W