いろんな事件を解決してるけど、正義の味方って言うか悪の親玉っぽい(特に表情が)
(in京極堂)







「こんちは。お邪魔しまーす」


そう言って私が入った店は、只今骨休め中だったりして。
って言うかちゃんと商売として成り立っているのかはまったくの疑問だ。
本屋さんらしいのだが、古書ばかり置いていて店長さんはめちゃくちゃ無愛想だし、お客さんが入っているところを見たことがないという状況ではこんな疑問がでても仕様がないと思う。偶々、私が来ている時にお客さんが一人も入ってきていないのかもしれないけど、それにしても商売をする気があまりないような気がするあの店長さんは。


「君はまた来たのか」

「うん。来たよ」

「何度も言うが、君のような子供が来るような場所ではないと思うのだけどね。それとも何かい、君はお客として本を買いに来たとでも言うのかい?今まで冷やかしにしか来た記憶がないのだけれどもね」

「にゃはははは・・・だってここの本難しくてわかんないんだもん。でも、柘榴や千鶴子さんには会いたいから通ってるのです。あっ、もちろん京極堂さんにも会いたかったよ」

「・・・そうか」

「今、諦めたでしょ。何かを諦めたでしょ」


京極堂さんて結構ひどくない?いたいけな子供に接する態度ではないと私は断言します!!


「僕もね、普通の―――この場合普通というのは一般的、平均的という意味で―――子供にはこんな態度はとらない。けれども君は違うようだ。榎さんのいうところじゃ『魔女っ子で不思議の国のアリス』、関君の感想は『関わると疲れる子』、旦那が見解では『一見その辺のガキと変わらんが、何かが変なガキ』、千鶴子や雪絵さんにとっては『元気でよく気が利く可愛い子、後ちょこちょこ動いているところを見ると癒される』らしい。他にも色々あるが、長くなるので割合しておこう。要するにこの意見を総合すると君と関わると面倒事が増えるという可能性が大きいということだよ。わかったかね」

「あー・・・きっと大丈夫。私そんなにトラブルメーカーじゃないと思うし、それに面倒ごとなら巽さんやレイジローさん、本島さんがちゃーんと持ってきてくれるよ」

「だから、これ以上増やしたくないんだ。今でもうんざりしているんだから」


呆れたとばかりにタメ息を一つ吐いて「頼むから巻き込まないでくれよ」と釘をさす念の入れようだった。
京極堂さんはなかなか失礼だと思う。
今までだって面倒ごとを持ち込んできたことはないのに。そら、まぁ他の人が持ってくる事件や何やかんやに首突っ込んでちょっかいかけてたかもしれないけどさー(それがいけなかったのかな?)

それにしても皆の私に対するイメージというか感想がよくわかったよ。レイジローさんは記憶を見てそのまんまだし、巽さんとかシューさんは失礼、千鶴子さんや雪絵さんはなんかテレちゃうな・・・かな。


「それじゃあ、京極堂さんの私のイメージは?面倒事がふえるって言うのはみんなの意見からでしょ?京極堂さん自身は私のことどう思ってるんですか?」


いっつも仏頂面で、親戚中がみんな死に絶えたみたいな顔もしくは、芥川龍之介の幽霊(って誰か言ってたよーなー)の 京極堂さんは私が来るたびにため息を吐くものだから、本気で鬱陶しいとか思われちゃってるのか気になった。
もしこれで面倒臭い子供とか言われたらまじめに凹みます・・・


「はぁ・・・全く君は何を考えているんだか。最初にも行ったと思うがここには子供が来ても面白いもなどなにもない。それなのによくも毎日毎日飽きもせずに、あの坂を上って通うものだと疑問に感じているだけで、別に君のことを鬱陶しいなどと思っているわけではない」


相も変わらず私が来てから本から顔を一回もあげずに会話をしている。
それでも、私が考えていることがわかったのかいつもより柔らかい声のトーンで言ってくれる京極堂さんは優しいと思う。


不機嫌な顔でも、毒舌でも、子供受けが悪くても、本の虫(これは関係ないか)でもこうやって私みたいな子供ともちゃんと会話してくれるから、きっとここ来るんだ。
柘榴や千鶴子さんにも会いたいのはもちろん、京極堂さんと会って会話するのが楽しいから毎日毎日あの眩暈坂を上ってこの本屋さんにに来る。
ここには度々トラブルを持ちこむ巽さんやレイジローさん、本島さん、シュウさんも集まる。そら面倒事は厄介だと思うけどみんなと居るのは楽しい。
だから私は明日もここに来るよ。

この世界にいる間はよろしくね京極堂さん!







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後書き

20100424