俺としてはやはりきたか、と言う感じだ
突然だが、俺の妹には変わった友達がいる。いままでは普通だったのだが、つい先日涼宮ハルヒという奇妙奇天烈な思考や行動の持ち主が作り上げた、SOS団(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団)の部員たちのこれまた素面では信じがたい告白を聞き、体験をした2,3日後までは、すくなくとも俺は普通だと思い込んでいた。
とんでも体験をし、否応無くもあの話を信じざるを得ない状況になってしまったこの頃、いきなりその妹の友達が話があると言ってきたのだ。俺はこの時点で嫌な予感はしていた。
ああ、していたとも!
今の俺には、わざわざ友人の兄貴にまで折り入って話があるなんていいに来るような話題はあっち関係しか思いつかない。
「で、キョンくんは私が言いたいことわかってそうな顔してるね」
・・・まず最初に突っ込んでおくと、その『で』ってなんだよ。日本語は正しく使え。後、俺の経験上南野が言いたいことは大体予想が立っているがな。
「それはよかった。じゃあ御華くんも呼んでいい?」
俺の最初の突っ込みはスルーなのか?それから、御華くんて誰だ。いくら俺が話しの予想が立っていると言っても話が飛びすぎじゃないのか南野?
「んー・・・相棒?友達?腐れ縁?保護者?師匠?」
何だそれ。余計にわけがわからん。
「見ればわかるかも」
かもってなんだ、かもって。それに見れば一発でわかるような関係性なのか?そんなきょとんとした顔でこっちを見られても困っているのはこっちだ。だいたい保護者やらの血縁者以外のものは、その御華くんという人物を見ても関係性はわからんだろ。血縁者でも似ていなければわからんと言うのに。と言うか、先に話したいことを話してからその人物を呼んだらいいんじゃないのか?
「んー・・・それもそっか」
はぁー・・・話に入るまでに疲れた気がする。
「じゃー重大発表をしまーす。実は私異世界人なの!」
・・・―――やっぱりそうか。そうきたか。
ハルヒは最初、超能力者、未来人、宇宙人そして異世界人と言っていたはず。なのに異世界人だけいないのはおかしいとは思っていたけどな。
「この世界に来たのは最近なんだけどね。いつものごとく穴から落ちたらこの世界ってわけなのです」
そういえば、今年の4月に転校してきたんだったな。妹が騒いでたから覚えているぞ。・・・ん?いつものごとく?今、いつものごとくとか言わなかったか?俺の勘違いでなければ異世界に行くのが初めてじゃないっぽく聞こえたんだが。
「言ったよ。異世界にきたのはこの世界が初めてってわけじゃないし。もう結構旅してる気がするよ」
「気がするじゃなくてしてんだよ」
うを!!誰だ!?
今まで俺の隣には誰もいなかったぞ?しかも、ここは俺の部屋でこいつは不法侵入者ということになるのだがえらく堂々としている。まるで捕まるわけは無いと言わんばかりの態度だ。
「これが噂の御華くんでーす」
急にわいて出てこなかったか?今まで影も形もなかったような気がするんだが。それともただ単に俺が気付かなかっただけだったのか?そうだ、きっとそうに違いない。人が急にわいて出てくるなんてありえない。いや、だがしかし、最近の経験からいえばありえないということはありえないんだな。
「お前、わいて出てくるってGのつくやつじゃあるまいし、俺にちょっと失礼だぞ」
「ちょっとなんだー」
あ、すみません。と言うか、バリバリ年上だったんですね。
しかも、名前は日本人ぽいのに目が青色とか外国人ですか。さらに美形ときたか。なぜ俺の周りは顔がいい奴ばかりなんだ?平凡顔の俺に対する嫌味かこれは。
「あーそうだな。これでも結構長く生きてるな」
長く?はーまぁ、俺よりは長いかもしれませんが、お見受けしたところ20代半ばってとこですよね?
「見かけはそんなもんだな」
見かけ?見かけって外見のことですよね。何かその言い方じゃ外見と中身の年齢が違うみたいに聞こえるんですけど。まさかそんなことありませんよね?
「みたいにじゃなくてそうなんだよ。実際俺数百年は生きてるし?」
すう、ひゃくねん・・・
「御華くん人間じゃないもん。妖怪だよ」
「そういうも見た目通りの年齢じゃないだろ」
「それは言わないお約束なの!私だって好きでこの姿になってるんじゃないんだから!!」
妖怪、ですか。新たにとんでも設定が増えてる。異世界人に妖怪か、マジでなんでもありだな。
南野も年齢どおりじゃないってのは妖怪だからか?
「違います。私はれっきとした普通の人間」
「普通ではないわな」
確かに。異世界人は普通とは言わないな。普通ってのは俺みたいな奴のことを言うんだよ。
「ぶーぶー」
と、まぁ。これが俺と南野、御華さんとの波乱の始まりだと言っていいだろ。
実際波乱だと思っていたのは俺だけかもしれないが。後の2人は楽しんでいる節があるのは割愛しておこう。
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後書き
きょんくんの喋り方ってこんなんだっけ?
原作が手元にないのでよくわかってなかったりします。
clap up:2008/9/3
再録:2008/11/10