01.帰ってきました我が世界!!







「―――今度はどんな世界なのかな?」

「んーここって・・・見覚えあるなぁ」

「そう言えば―――・・・もしかして戻ってきた?」


自分の現れた周りを見回してみると、どうも見覚えがある。
というか自分の元いた世界に戻ってきたらしい。
一番初めに魔界に行くつもりではいった穴、境界トンネル(異世界につながってるバージョン)のあった自然公園の森の中だ。


「ああ、戻ってきたらしい。ただしどのくらいの時間がたっているかはわかんねぇけどな」

「えっ!?そういえば・・・もし、めちゃめちゃ時間たっててみんないなかったらどうしよぉ」


やばい!ど、どうしよう!?私の知ってる人全員とっくの昔に死んじゃってます。とかだったら私まじにへこむ・・・


「まぁ、とりあえず人のいるところまで行って日にちでも聞いてみたらいいんじゃね?」

「うん・・・そうしてみる」


こんな森の奥に人なんか入ってこないから入り口の広場のあたりまで行ってみることにした。
広場のところには行った時と同様に親子連れが多く遊んでいるのがみえる。
近くにいたサッカーボールで遊んでいる父と子を見て微笑んでいる母親に声をかけて聞いてみると、私たちが穴に飛び込んでから1,2時間しかたっていないことがわかった。(とりあえず一安心)


「よかったーまじで安心したぁ・・・一回家に帰っていい?」

「おぅ、いいんじゃね?」


久しぶりの自分の世界に帰ってきて、自分でも気付かなかったホームシックの気持ちが戻ってきたのかもしれない。
本当にアホみたいに長い時間出かけていたと思う。(自分が今、何歳かは考えない方向で・・・)
ドキドキしながら家までの帰り道を歩いていると、前のほうに見慣れていた赤い髪の青年がいた。


「お兄ちゃーん!!」


うれしさのあまり、思わず駆け出して背中に飛びついていた。


「あれ?じゃないか、どうしたんだ?」

「えへへへ・・・いや、ちょっとねー」

「よかったじゃん。お兄ちゃんにあえて」


お兄ちゃんにくっついて幸せを噛みしめていると、ついて来ていたらしい御華くんがニヤニヤしている。
私とお兄ちゃんの感動の再会なのに茶々いれてくるなんてサイアクー。
文句を言ってやろうと口を開いたところで、お兄ちゃんが険しい顔をしていることに気付いた。


「御華・・・何でお前がここにいるんだ!」


え?知り合いですか??初耳なんだけど御華くん。


「よぉ蔵馬。顔あわせるのは久しぶりだな」

「質問に答えろ!」

「そんな怒んなって。別にケンカ売りに来たわけじゃねぇんだし」


何かもっそい険悪な雰囲気になってるし・・・
というかお兄ちゃんが一方的に敵視してる感じだけど、どういうことだろ?
すっごい話しかけにくい空気・・・でも、気になる!


「あのー・・・ピリピリしてるとこ悪いんですけど、質問いいですか?二人って知り合い?」

「おお、まぁ昔魔界で色々あってな」

「は?魔界?どういうこと?」

「御華!!」


うお!?お兄ちゃん、いきなり叫ぶからビックリしたじゃない。
心の臓が口から飛び出るかと思った。


「お兄ちゃん?」

「・・・、お前まだ気付いてなかったのか?そいつ妖怪だぞ」

「は?何言ってんの?意味わかんない」

「はぁー・・・今なら妖気感じれるだろ?妖気放ってるやつなんて妖怪しかいねぇよ」

「そういえば・・・全然気にしてなかった」


そう言ってお兄ちゃんの顔を見上げてみると辛そうな顔をしていた。
えっ?な、何でですか!?そんな思いつめなくても!


、ごめん・・・騙すつもりじゃなかったんだ・・・」

「お、お兄ちゃん?」

「っ・・・」


そんな顔されたらむしろ私が悪い気がしてくるんですけど。
私が悪いの?いじめっ子か?いやいやいや、妖怪だろうが何だろうが私は気にならないのだけれどもね。


「あー・・・えっとーお兄ちゃんは本当に妖怪なの?」

「あぁ、御華の言う通りだ」


全然わからなかった。今までずーっといっしょに住んでいてまったく気付かなかったよ・・・


「へーそうなんだ・・・でも、お母さんから生まれたよね?ちっちゃいころの写真とかあるもん」

「お前本気で何も知らねぇんだ・・・あのなーそいつは魔界でこっぴどくやられて人間界に霊体のまま逃げ込んだんだ。それで、お前らの
母親のお腹の中にいる赤ん坊に乗り移ったわけだよ」


「ふーん、お兄ちゃん大変だってんだね」

「ぶっ・・・!」

?俺が妖怪だと知ってもなんとも思わないのかい?」


お兄ちゃんは困っているようなどうしたらいいのかわからないという顔をしている。
御華くんは噴出してるし!!(後でしばく!)しかも、思いっきり爆笑してる。


「いや、だから大変だったんだねーって思ってるんだけど・・・。御華くんはシャラーーップ!!」

「そうじゃなくて!ずっと騙していたようなものだし、人間じゃないんだよ?」

「別に人間だろうが妖怪だろうがお兄ちゃんはお兄ちゃんだし、それに好きで騙してたわけじゃないでしょ?」

「それは・・・」

「あと、秘密ぐらい私にもあるよ!今とかすごいあるんだから!!でもでもお兄ちゃんも教えてくれたし、私も教えてあげるね」

・・・ありがとう。本当に・・・」

「いえいえ、どういたしまして!」


これぞ、兄妹愛だね!私はおにいちゃん大好きだし、たとえお兄ちゃんが何であろうが全然気にしません!!(ちょっとは気にした方がいいと思う。by御華)


「話も片付いたところで家に帰ろっか。お母さん待ってるしね」

「そうだね」


手を繋いで仲の良い兄妹で帰ろうとしていた私たちの背中に声がかけられた。


「っておい!俺のことすっかり忘れてるだろ」


すっかり忘れてたよ・・・ゴメン御華くん・・・


「えへっ」

「あぁ、すっかり忘れたたよ。そういえばは御華と何で知合いなんだ?」

「えっとーそれも帰ってから話すよ。御華くんはどうする?うちくる?」

「そうだなージャマするわ・・・ってそんな嫌そうな顔するなよ蔵馬」

「実際、嫌だからな」

「まぁまぁ、御華くんいるほうが説明しやすいし、ね?」


お兄ちゃんと御華くんって昔何があったんだろ・・・
きっと、御華くんがいらんことでもしたんだろうな。

お母さんも待ってるだろうし、立ち話もあれだから家で落ち着いて今までのことをお兄ちゃんに話すことにした。(異世界旅しまくってました!なんて話信じてくれるかなぁ?)





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後書き
幽白編しどーかいしです。蔵馬様大好きだけどむずいかもっ


2008/9/19