No.00
今、私がいるところは江戸―――ではなくて大江戸幕末巡回展という展示場だ。最先端技術を利用した次世代型博物館でCGとの合体により幕末頃を体験できるものらしい。入り口で配られたゴーグルをかけると本当に外にいるみたいに空が見える
ゴーグルは高価だから壊すないようにって私をこの場所に連れてきた張本人の日本史の先生が言っているのを適当に聞き流し、町の様子を見回していると隣のクラスの(たぶん)六合くん(だったと思う)に声をかけられた
「ねえねえ、櫻庭さんだよね?この補習ってウチのクラスだけだったと思うんだけど隣のクラスの櫻庭さんなんでこれに参加してるの?」
「えっとー六合君?あまりにも出席日数足らな過ぎて留年しそうだったの。それで頼み込んだらこの補習に参加することを条件として助けてくれるってわけなのですよ」
「そうなんだー大変だね」
「いえいえ、自業自得だからねーこんくらいで留年免除されるんなら安いもんだよ」
「あはは、櫻庭さんって面白いね」
「そう?」
「うん。そうだ、よかったら一緒に回らない?あと紅葉と中原さんもいるんだけど」
「うーん・・・お誘いはうれしいけど、ちょっと一人でぶらぶら回りたいからごめんね?」
「そっかーじゃあ後でね」
六合君と別れて江戸の町を堪能するために歩き始めた
しばらく当てもなくさまよっていると行き止まりの場所に来てしまったらしく地図を取り出しどこに行くか考え出した時、殺気を感じて思わず地図から顔を上げた。さっきまで行き止まりだった場所に橋ができていて、その橋の上にはライオンみたいな大きな動物と顔に布を垂らした小さな人が立っている
私は何かのイベントかとも思ったけどそれにしても悪趣味なもので不気味になり他の場所に行こうと踵を返した時、小さな人が私に向かって問いかけてきた
「ひとつ虚とはなんぞや」
「は?」
「ひとつ実とはなんぞや」
「え?いきなり何ですか?」
そう答えた瞬間、ライオンみたいな動物が私に向かって襲い掛かってきた。その動物の爪が私の喉から脇にかけて切り裂いたと思う―――視界が暗転して痛みを感じるまもなく意識がとんだ
その時私が思ったことは留年しちゃうかも・・・
痛い―――そう声を出したはずだったが実際には音は何も出なかった
「目、覚めたようだな」
え?
「無理するな―――やはり声が出ないか・・・」
声が出ない?私の?
「そんな顔するな、心配ない。お前は疲れてるんだ何も考えずもう少し休んでおけ」
ああ、そうかもしれない・・・
そこで私の意識はまたもやとんだ
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後書き
またまた連載っぽいのが始まりました・・・終わるのかな??まじで・・・
一応最後のとこらへんで主人公に話しかけているのは沙門なんですけどそんなん言わなきゃわかんないことですね;;
2007/11/4