01.
ガッシャーン!!
あーこの小物可愛いな、なんてガラスウィンドウの中を覗き込んでいた私のすぐ横に派手な音を立てて人が突っ込んできた。いや、突っ込むと言うよりすごい勢いで飛んできたと言う方が正しい。
見るも無残な様子になったガラスウィンドウに、ちょっとほしかったんだけどなー、と残念な気持ちが広がる。普通なら店内に入り飾られていたものと同じものを探せばいいのだが、この店は生憎一店ものオンリーなわけで、とんできた男に巻き込まれガラスウィンドー同様無残な姿にされた小物はこの先一生手に入らないだろう。
改めて周りの様子を窺うと何人かの地に伏せている(壁にめり込んでいたりもするが)ガラの悪そうな男たち。何故か自動販売機を持ちあげるバーテン服の男。この騒ぎを中心として半径100メートルほどは誰もたちいらない野次馬。
あれ?なんだこの状況?意味わかんないや。
「俺は暴力が嫌いだってんのによぉその俺にこんなことさせるお前らは何様のつもりだー!!!」
しかもなんか理不尽で俺様な内容なドスの利いた声が聞こえてくる。
それを言ったのはバーテン服の男で、持っていた自動販売機を戦意喪失気味なガラ悪男(ちょい省略してみた)に投げつけようとしていた。しかし、それを投げられてしまうと明らかに私も巻き込まれること明白だ。なので止めてもらうように声をかけてみた。
「あのーそれ投げるの止めてもらえません?」
「あ゛ぁ゛?何だテメーは?こいつらの仲間か、だったらこれ投げられても文句は無ぇよな・・・テメーも死ね!」
あれ?やっぱり理不尽?しかも私このガラ悪男の仲間じゃないし。
一応弁解しといたほうがいいのかな?
・・・って時すでに遅し!
無駄に思考をしていた私(とガラ悪男)の方にバーテン服の男が自動販売機をぶん投げた。
あんなもん当たってたまるかっつーの
体一個分ぐらいひょいっと横によけた私は自動販売機に当たることもなく事なきを得た。でも、まぁあのガラ悪男はよけれるはずもなく思いっきりブチ当たって、自動販売機と共に飛んでった。
さよーならガラ悪男
「テメー・・・よけんじゃねぇよ!」
よけられ、余計に怒気を募らせたバーテン服の男はすぐ横に刺さっていた“止まれ”の標識を引っこ抜いて私に飛びかかる。いやーあなた、標識には従わなくちゃいけないんだから止まろうよ、ね?
「あの、今さら何だけd「うっせー!」
弁解聞いてもらえず途中で終了。ごしゅうしょうしゃまでした私
“止まれ”の標識をふりかぶって、私を叩きつぶすかのように上からたたき落とす。それを横に半歩体をずらしかわすと同時にそのままバーテン男のあごに結構よろしいパンチを叩きこんでやった。普通の成人男子ならこれ一発でKOされてくれるはずの一撃に何もなかったかのように、さらに標識を横に薙いでくる。しゃがんで標識が頭の上を通過するのを待ち立ち上がるのと同時に鳩尾に拳を叩きこむが相変わらず聞いた様子がみられない。
そのまま、何度か攻撃の応酬をしていたが、どうもこのバーテン男にダメージを与えることが難しいらしい。多少は聞いているのか、時々眉をひそめたり「いってぇな、この野郎」等言ったりしているのだが、決定打になんてなっちゃいない。
と言うか、このバーテン男ものっそい固いんだけど。コンクリートの壁を殴っているかのような感触がして、正直こっちの拳は限界がきている。それにハードに動き回っているせいか体力も限界に近い。やばいな、と思った瞬間右からの強烈な衝撃が私を襲った。吹っ飛ばされた私は壁に激突しブラックアウトした。
ちなみに、ブラックアウトする瞬間思ったことは、トラックに轢かれるのってこんな感じかなーだった。
「ん、・・・いっ、っ・・・」
最初に見えたものは知らない天井だった。ついで痛みが襲ってき、ここがどこだとか思案することもできない。
「あ、起きたんだ。すぐ痛み止めうつから我慢してね」
痛みで蹲っていたら、いつの間にか部屋に入ってきていたらしい白衣の男が、言葉通りなら痛み止めだろうものを私の腕に注射した。
それは、即効性だったのかうつとすぐに痛みが引いていく。
「さて、痛みは大丈夫かな?」
「はい、ありがとうございます」
白衣の男はこの様子からすると医者なのだろう。メガネに白衣なんてザ・ドクターみたいな、イメージそのままだなぁ。
「えっとねー、何から話したらいいのかな?取り合えず君も色々聞きたいことがあるだろうけど、ちょっと僕の質問に答えてね」
にこっと笑いそう言った医者に一つ頷くと、「やっぱり素直なのが一番だよねーどっかの誰かさんにも見習わせたいよ」とか独り言?をべらべら喋っていた。
「ああ、ごめんごめん。話が脱線したね。それで最初の質問、君の名前は?」
「」
「ちゃんね。僕は岸谷新羅って言うんだ。気楽に名前で呼んでね」
「りょーかいです新羅さん」
名字ははあまり名乗りたくなくて、名前だけを端的に言ったが、そんなことは全く気にせずに話を進めていく新羅さん。
「それじゃあちゃん、怪我した理由覚えてる?」
「覚えてるけど?何でかバーテン服の男にケンカ売られてぶっ飛ばされた。まさにトラックに跳ねられた気分?はねられたことないけどね」
どこかツボったようで顔をうつむけて一頻り笑った後、ごめんねと謝った。
その後、いくつかの質問をされ全て正直に答えていった。
「よかった特に脳に異常はないみたいだね。静雄の話では頭もぶつけてたっぽいから、王道的展開で記憶喪失とかになってたらどうしようかって思ってたんだ」
「それはそれで面白そう。その場合私は悲劇のヒロインかな」
さて、それじゃあ悲しみの淵から救い出してくれる王子様は誰になるんだろう?
新羅さんか?あんまり王子様って雰囲気じゃないよねーだったら王子様は何時現れてくれるんだろうね?
乙女的思考が頭の中をぐるぐる泳ぎまくって、自分でも何がおかしいのかわからないけど、無性に込み上げてくるものがあり大笑いした。
新羅さんは「やっぱり打ち所悪かったかな?」なんて首をかしげているけど、それに反応なんかできる余裕もなく笑い続けて、酸素不足の所為でむせた。かっこわる私
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後書き
変なとこで切ってごめんなさい。しかも静雄相手のはずなのに最初からフルボッコ主人公(笑)
24時間戦争コンビ大好きなのでそれ中心?でも新羅喋らしやすい・・・
あと、連載名ふざけすぎててごめんなさい。考えるの苦手なんです。正直遊んでますすいましぇん
2010/10/05