02.






むせても笑い続ける私に、いよいよ心配になってきたのか「鎮静剤うつ?」なんて聞いてきた新羅さん。何かそれが余計におかしくて、さらに笑った。
本当に注射器を持ちだしてきたものだから、大丈夫と伝えてくて、ジェスチャーし思いとどまってもらう。
その後数分笑い転げ、やっとのことで落ち着いた私に「まぁ、一息入れようか」と言い、お茶をさせ出してくれた。


「それじゃあ、落ち着いたようだし話を再開しようか」

「まことに申し訳ございませんでした。何かやけにつぼったんだよねー」

「本当に笑い死にするんじゃないかって思ったから。治まって何よりだよ」


私も笑い死にするんじゃないかと思った。我ながら歴史に残る死に方だよね。こんなんで歴史に名が残るのもいやだけど。


「あーそうだ、私を治療してくれたのって新羅さん?ありがとうございました」

「いえいえ、僕は医者だから治療するのが仕事だしね。あ、医者って言っても闇医者だけど」


おー闇医者って初めて会った。漫画やドラマの中だけじゃなかったんだね。感激!なんちゃって


「闇でも何でも取り合えず助けてもらったことは変わりないから感謝です」

「それでね、君の怪我具合なんだけど、右腕複雑骨折の肋骨二本骨折、他数本ひびで筋肉断裂、胸部から腹部までの切り傷だね。他にもいっぱいあるけど合わせて最低全治半年かな」

「わお。ちょー大けがだね私」

「うん、死ななくて良かったねってレベル」

「あー私右利きなのに不便だな・・・せめて左だったらよかったのに」

「瀕死レベルの怪我を負っての感想がそれって、君おもしろいね」

「うん、よく言われる。あと変って」


軽く話していたけど、内心結構悩んでいる。右利きの私が右手使えないって生活すげー不便じゃない?まずご飯どうやって食べる?毎日マックとかジャンクフードはいやだ。それにお風呂どうしよう片手じゃ洗えない。いっそ友達のとこに住み込もうかな。でも、半年とか泊めてもらうのはさすがにダメだよね?いっそ実家に帰る?あーそれは嫌だ。本気で遠慮しよう。じゃあどうする?誰か私にいい案ください。切実に・・・
もやもやとこの先のことを考えていたら、新羅さんの話は続いていた。


「そうそう、何で普通の病院じゃなくてここにいるかなんだけど、静雄が慌てて運び込んで来たからだね」

「静雄?だれそれ?」

「君をぶっ飛ばしたやつ」

「え?私をぶっ飛ばしたやつ?」

「そう」


何故に私をぶっ飛ばしたやつが慌てて医者の所に運び込むんだ?普通そのまま放置だろ放置


「何でも、君が女だってことぶっ飛ばした後で気付いたらしくて、顔面蒼白とはまさにあのことだね」

「へー女は殴らない主義とか?」


別に殴られたわけじゃなく標識でぶっ飛ばされたんだけどね。
それにしても、女と気付かれないとは・・・あぁーでもスニーカーにジーパン、パーカー、キャップに髪の毛押し込んでたから服装的にはわかんないか。それに、自分で言ってて悲しくなるけど慎ましき胸部。
うん、性別わかんないは


「んーできれば殴りたくないんじゃないかな?気分のいいものじゃないみたいだしね」

「ほーそうですかー」


ちなみに私はケンカする相手は選びません。強ければ男女老若問わずOKですので
自分で言うのはなんだけど、結構強いよ?動体視力が良いおかげで避けるのが一番得意。攻撃されたのを避けたところでの反撃ってのが私のスタイル。急所に一撃必殺を入れてそくKOのパターンだね。


ちゃんさ一人暮らし?実家暮らしだと色々面倒くさいなー」

「一人暮らしだけど。実家とはほとんど連絡取ってないし」


行き成りそんなこと聞かれて戸惑ったけど、支障のないことなので答える。


「仕事は?その体だと当分の間できないと思うんだけど」

「してない。いわゆるニート?親の脛かじって遊び歩いてまーす」

「そ、じゃあいいか」


何がいいのかさっぱりだけど。むしろ私ニートだめじゃない?闇医者もどうかと思うけど、それでも働いてるだけ私より断然いい。


「それでさ静雄がものすごく落ち込んでて鬱陶しんだよ。だからさ、ちゃんその腕じゃどうせ日常生活送れないでしょ?一人暮らしだしね。静雄に世話してもらって罪滅ぼしにさせてみたらどうかな?もちろん君が嫌じゃなかったらだけど」


確かに日常生活どうしようかなとは考えていたけど、バーテン服の男もとい静雄さんが私の世話?ほぼ初対面の私の世話ね・・・いくら罪悪感あっても嫌だろそれ。私だったら金積んではいおしまい☆だよねー


「とりあえず会ってみてよ。―――静雄ー」


どうしようか迷っていたら、新羅さんは声を張り上げて静雄さんを呼んだ。
ってこの家にいたんだ静雄さん。









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後書き
いまだにシズちゃん出てこず・・・これは誰夢だ?次出ます!絶対!!


2010/10/22