03.






「・・・・・・」

「・・・・・・」


・・・き、気まずい
そんな無言で見つめられても・・・ってか睨まれてる?
何かオーラが怖いんですけど


「・・・・・・」

「・・・いや、あのー」

「―――っ、悪かった!」


あまりの沈黙に耐えられず私が口を開くと、その場でがばっと頭を下げられた。それはもう土下座でもしそうな勢いで。
こうなってはむしろ私が悪者のような気がしてくるのは何でだ?別に静雄さんが悪者ってわけじゃないんだけどね、あれはまー事故みたいなものだと思ってるよまじで。
それにしても自動販売機って投げられるもんなんだってこと初めて知ったよ。いいもん見してもらった。うん
じゃなくて、この状況をどうすればいいのかだな、今は。
解決策がないか視線をうろうろと室内に泳がしてみるがいい方法が思い浮かばず、藁にも縋る気持ちで新羅さんの方を見る。―――あ、だめだ。がんばってーとでも言うようにひらひらと手を振られた。あれは絶対面白がっている。薄情だな!


「あの、ですね、取り合えず頭上げて。えっとー平気だから!私大丈夫だしそんな頭下げなくてもいいから!」


全く平気でも大丈夫でも無いけどそう言うしかない。言った本人がそんなこと思ってるもんだからそれが静雄さんにも通じるわけもなく、大丈夫なわけないだろみたいな目で見られた。


「んな姿で大丈夫なわけないだろ。ほぼ瀕死だって新羅から聞いたぞ」

「瀕死だなんてそれ大げさすぎ」


はははーとわざとらしく笑うも、全く信じていない様子の静雄さん。さらに追い打ちをかけるように横から新羅さんが口を出してくる。


「大げさって程じゃないんだけどな。だいたいあんな怪我負うっておいて今普通に話ししてるのが異常なんだよ。普通なら昏睡状態がいいところかな」

「いやー体の頑丈さには定評がありましてー」


またもやわざとらしく笑うが、この変な空気は変わらず続く・・・
でも本当に私は結構頑丈な方だと思う。昔、子供のころ2階から落ちても怪我一つしなかったのはいい思い出だ。他にも車にひかれて捻挫オンリーとか、まだ色々あるけどここでは割愛させてもらおう。


「でも、お前そんなんじゃっ」


そんな捨てられた子犬のような目で見られたら困る!何が?って聞かれてもわかんないけど取り合えず困る!


「いや、えっとー・・・」

「そうそう、そんな体じゃ日常生活も大変でしょ?だから静雄が世話係したらいいんじゃないかなって話してたんだけど」

「いやいやいや、話してんだけどじゃないし!そんなこと言われても静雄さんも困るでしょ!?」

「俺はいいけど」

「ほら、こまっ・・・え?」

「いや、俺はいいぞ。お前が嫌じゃなきゃだけど。そんなんで罪滅ぼしになるとは思ってないけどな」

「あ、嫌とかは特にないけど、本当に?こんな見ず知らずの女の世話?変な罪悪感とか持つ必要ないよ」


静雄さんって実はいい人?ものっそい切れっぷりでガラ悪男たちのことぼこぼこにして挙句の果てに自動販売機投げてたけど実はいい人なのか?
こうやって話してるぶんには普通だし取り合えず怒らせなければオッケーみたいなノリなのかな


「あははは、あんだけボコッといて罪悪感持つなとか臨也じゃない限り無理でしょ」


新羅さん、後ろで静雄さんグサッてきてるから!なんかもう泣きそうだし!止めてあげて、私が言うのもなんだけど止めてあげて!
ついでに臨也さんってだれだよ?言い出したの私だけど、この状況で罪悪感持たないの人として終わってない?

心の中で盛大に突っ込んでおいた。新羅さんもさらっと突っ込みどころ満載なこと吐いてくれるから困るわー


「俺がお前の面倒見るから!さっさと行くぞ!!」


泣きそうなのから逆切れちっくなった静雄さんに引っ張られる。


「っ・・・ちょ、待って!」


いくらなんでもこんな状態じゃあ頑丈なちゃんもきついっすよ。鎮痛剤が効いてるといえどそれも通り越して痛い。骨の芯からキーッンってくる感じ?
静雄さんは軽はずみな行動に気付いたのか瞬間的に手を放す。


「悪りぃ!大丈夫か!?」

「ん、大丈夫。行き成りだからびっくりしただけ」

「あのさー君たち何か勘違いしてない?静雄が世話係するのはここから退院してから。今はまだ絶対安静なんだから」

「は?どう言うこと?」


そんなこと今まで一回も言ってなかったよね?ってかここに入院してていいの?闇医者だよ新羅さん


「自宅兼診療所って感じだけど、空き部屋を患者用に当ててるから当分の間大丈夫。ここに居る間はきっとセルティが喜んで面倒見てくれるよ」

「へーそうなんだ。ところでまた知らん名前出てきたんだけど?」

「セルティは僕の生涯の伴侶さ!もう本当にかわいくてきれいで、なんと言ってもその魅力は(以下略っていうか静雄さんがうるせぇってデコピンで黙らせた。


デコピンの効果音がドゴッってどういうこと!?一瞬新羅さんの頭陥没通り越して爆発するんじゃないかと思った。さすが静雄さん・・・

そんなこんなんで、1週間だけ新羅さんのところに入院でその後は静雄さんのところに移動することになった。
あー人生何が起こるかわかんないね。一寸先は闇かな?









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後書き
セルティかわいいなー何であんなにかわいいんだろ?新羅が憎らしい・・・


2010/11/07