第一話
「ん〜結構時間かかったなぁ。ちゃっちゃと帰るか」
独り言をつぶやきながら歩いていると、ちょうど通りかかった美術館の中から悲鳴とけたたましい物音が聞こえてきた。
「え?何事?」
びっくりしながらも野次馬根性が働き美術館の中に入ってみると、入り口のガードマンが息絶えている。血のにおいが気持ち悪くて少し吐き気がこみ上げてきたがそれを無視して歩みを進めた。
「ここも死体だらけか…誰かなぁ美術館でこんなことするやつは―――マナーがなってないな」
「それは失礼した。ところでお前は誰だ、こんな時間に一人で子供が何をしている?」
「やぁこの前を通りかかったらなんかすっごい音が聞こえたから野次馬しに来てみた?」
突然後ろからかけられた声に動揺もせずに疑問系で答えを返してみると
「ふんっただの子供ではないということか。まぁいい、何が目的だ?」
「だから、ただの野次馬だって言ってるじゃない」
そう言いながら後ろを振り返ってみると、全身黒い服でオールバック、変わったピアスをつけた20代前半?な人が立っていた。しかも尋常じゃないオーラだ。これはプロだね、人を殺すことを躊躇しないそんなことは当たり前、いやこの人にとったら普通で自然なことなんだろう。って感じの雰囲気がある。
「えっと…とりあえず目的達成ということで私は帰ることにするね。お兄さん?」
作り笑いを顔に貼り付けながらきびすを返してさっさか逃げようと一歩踏み出したところで上着のフードを持って持ち上げられた。まぁようするに猫みたいにぶら下げられているわけだ。
「そんな簡単に帰れると思っているのか?」
ちょー素敵な笑顔でそうのたまわれた。
「あはっ。帰らせてくれたらうれしいかなぁとは思うけどね」
「冗談、お前みたいな面白い奴をそうやすやすと逃がすわけないだろう」
どうやら気に入られたようだ。いらん!非常に遠慮したい!!そんな考えが顔に出ていたのかオールバックのお兄さんは余計に面白そうな顔でこちらを見てくる。そのまま二人で見つめ合っている(私はにらんでたんだけどね!)と誰か近づいてくる気配がする。
「団長、これでいいんでしょ?"赤龍の瞳"」
「ああ、それだ。こっちは面白い物を拾ったぞ」
「それ子供だよね?誘拐し…うそうそ冗談だって」
「ここに忍び込んできた。本人はただの通りすがりの野次馬だといっているが死体を見ても平然としているし、何より俺の気配に気づいた―――面白いと思わないか?」
何か私のことなのにほっとかれてるし、私って物扱い!?って言うかいい加減おろしてくれないかなぁ腕疲れないのかな?何より私が苦しい!二人が話している間そんなことを考えていると
「へぇ〜ねえ君ってすごいんだね。団長の気配に気づけるなんて一般人じゃないなプロでもそういないよ?」
金髪の好青年ぽい人が話しかけてきた。
「そうかな?一般人じゃないって言うのはあったてるけど私の一族の中じゃ私って中の上ぐらいなんだよね」
「一族?なんていう一族なの?」
金髪のお兄さんがさらに質問してきたと同時に、また誰か近づいてくる気配がする。今度は一人じゃなくて複数だ。ヤバイな、これ以上増えたらさすがに逃げるの無理っぽい。
「って言うことで、逃げます」
言うのが早いかフードを持っている黒いお兄さんの手のつぼに針(長さ20センチぐらいの細長い武器)を刺し、ちなみに腕の動きを麻痺させるつぼね。そして一気に10メートル以上上にある窓まで飛び上がった。
「それじゃぁごきげんよう」
などとふざけた一言を残して逃走。今思い出したんだけど確かあれ幻影旅団だよね?あのオールバック絶対そうだよ。うわ〜よく私逃げられたね!てか生きてる。本気でこられたら一瞬で殺されてたかもね…笑えなーい。今は本当にこの子供の姿に感謝だよ。油断してくれてなかったやばっかた。
これが私と旅団とのファーストコンタクト。
この後、旅団とあんなに縁があるとは夢にも思わず帰路につきました。
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