「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・いい加減食べたら?」

「・・・」

「別に毒なんて入ってないから。せっかく拾ってきたのに殺しちゃったら意味ないじゃない」

「何で・・・」

「ん?何で拾ったか?」

「落ちてたからかな?なんとなくだよ」

「・・・別に珍しいことじゃない」

「そうだね。今の時代、死にそうな子供が捨てられてるのなんて珍しくもなんともないわね。でもさー珍しいことじゃなくてもほっとくのはなんとなく嫌だったわけよ。まっ要するにただの自己満足なんだけどね」


ほんとただの偶然で自己満足で気まぐれだったの。今は戦争の真っ最中だからド田舎で比較的平和だといってもやっぱり戦争孤児やら何やらいるわけでこの警戒心の高い子供を拾ったのはまったくの偶然ではないと思う村の近くで拾うならね。アタシの家はド田舎の村のさらに奥のほうの森の中にある。人なんてめったに入ってこなくて悠々自適な生活を送っていたのだが、全てを自給自足なんてできるわけじゃないから定期的に村まで降りていって買い物をしなければならない。それで今日も村まで買出しに行って帰り道をとぼとぼ歩いていたら偶然そこに見た目12,3歳の怪我だらけの子供が落ちてたってわけ


「そんな疑わしそうな目しないでよ、別に君を如何こうしようってわけじゃないって。怪我治って元気になれば出て行っていいからさ。だからとりあえず今はこのご飯食べること!」


アタシは拾った子供に食べさそうとしていたおかゆを自分で一口食べて見せてから差し出してみる


「ほら、食べないと怪我も治らないよ」

「・・・」


子供はしぶしぶといった風におかゆを受け取り食べだした。食べだしたらおなかが減っていたのか一気に全部平らげている


「はい水」

「ん・・・はー」

「なんだぁやっぱりお腹空いてたんじゃない。あー別に悪いってわけじゃないからそんな睨まないで。お腹が空くなんて普通のことでしょ」

「・・・助かった」

「!?いえいえどういたしまして」


小さい声だったけどお礼を言ったってことはちょっとは信じてくれたのかな?お礼を言った時に耳がかすかに赤くなっていたのが少しかわいいかもとか思えた


「そういえば自己紹介まだだったよね。アタシはっていうの」

「クラトス」

「ん、クラトスね。じゃあクラトス、君の怪我が治るまでよろしくね」


これがアタシとクラトスの出会いだった




01.拾ったのは、人でした。







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2007/7/5

titlt by:DB.

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