00.prologue
『ようこそ愚かな人間』
そこは真っ白な空間に黒い人の形をした影が一つと、セフィロト樹が描かれた大きな扉が一つ。そして、死んだはずの私がいた。
『くっくっく、そうだなあのままいけばお前は死んでいただろうな。でも、死んでいない。いや、生きている。死ねなかったのは残念か?』
・・・残念?はっ、反吐が出る。あんな得体のしれないもにでさえ生きていると言われ、ホッとしてしまった私はどこまで生に執着すれば気が済むのだろう。
自己嫌悪や、死んだと思った時の安心感と恐怖という矛盾した気持ち。色々なものが私の中で渦巻いている。
『まぁ、お前の考え何てどうでもいい。結局お前は生き続けなければならないということだ。ただし、別の場所でな』
「別の場所?」
私の思考を読んでいたのか、答えを無視し一人でべらべらと喋り続けていた人もどきに対して、私は初めて口を開いた。
『そう別の場所だ。違う国という訳じゃないぜ。世界が違う。今までお前がいた世界とは違う別の世界だ』
異世界ということだろうか?理論上そういうものはあると言われていたけれど、私は興味はなく特に考えたこともなかった。
「なぜ?」
『お前が最後に書いた錬成陣あったろ?最後まで書けなかったな。それが幸か不幸か偶然、異世界へ移動する錬成陣だったと言うことだ。いや、偶然じゃないかもな。あるいは必然』
なるほど。偶然か必然かなんてどうでもいいが納得はした。
『無駄話はこのぐらいにして、お前にはそろそろ行ってもらおうかな』
別に無駄話をしていたつもりはないし、べらべら喋っていたのはそっちの方だと思う。
『それじゃあ、運が悪けりゃまた会おうぜ』
人もどきが言い終わったと同時に、セフィロトの樹が描かれた扉が開きだした。中からはそいつと同じように黒い影のような手が無数出てき、私に絡みつく。
『言い忘れてたが、ここは真理の扉と言われている場所だ。あと代価貰うぞ』
そういう重要なことは最初に言ってほしい。『真理の扉』というのは聞いたことはある。人体錬成したやつらが行きつく場所らしい、と言うことぐらいだが。付け足しのように言われた通行料って身体の一部か?確か鋼も手足がオートメイルだったような・・・どこをとられるんだろう、あまり支障のないところだとありがたいんだけれども。
黒い手に纏わりつかれ、中に引き込まれると中はすごかった。何と言うか口じゃあとても説明できないぐらいすごかった。一気に知識を詰め込まれ、頭が痛いとかいうレベルじゃなく本当に爆発するかと思ったぐらいだ。
そして、それが通り過ぎたと思ったら蒼だった。雲一つない快晴の空。四方どこを見渡しても水平線が見える海。どこを見ても蒼一色だった。
現在私がいるところは海のど真ん中の船の上。
海を見たのは二回目だなぁ・・・
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後書き
ワンピブームに便乗ってか普通にハマった。
白ひげのみんな可愛い。ルーキーたちも可愛い。もちろん麦わら一味も可愛い。何か出てくるキャラほぼ全部可愛いし!!
20100220