08.俺ももちろん下着はフンドシです。(これぞ漢の中の漢!!)










文仲と二人で何とか飯のメニューを決めて、ほぼ完成という時に入り口の方から悠舜と誰かの声が聞こえてきた。(ちなみに今日のメニューは彩雲国風偽回鍋肉[ホイコーロー]。なぜ偽かというとぶっちゃけ俺、回鍋肉食べてことないんだよね。CMで見てただけだから)
声の高さから女性だと予想をつけるのだが、こんなところに女性がいることに疑問を覚え最終の仕上げを文仲に押し付けて、入り口に向かうことにした。
決して面倒くさくなったとかじゃなくて、一応ここの責任者なんだから確認ぐらいはしとこうと思って、泣く泣く調理場を後にしたんだからな。本当に絶対まったく誠心誠意嘘じゃないからそこんとこヨロシク!


「あっ悠舜。何持ってんの?そんで、さっき誰か来てた?」


入り口に着くと、悠舜が大きな風呂敷包みを持ち呆然としている。


・・・いえ、あのー・・・」


悠舜が何か言おうとした時、森の方から黎深と鳳珠がフンドシがどうとかこうとかいいながら、相変わらずのにぎやかさでやってきた。(鳳珠さんその顔でフンドシって・・・)
そして、黎深が風呂敷包みに気付いたようで悠舜に問う。


「遅いですよ、黎深。たった今まで、百合姫がいらしてて―――」


と言った瞬間に黎深の顔色がさっと変わったのを見てしまった俺は、この後絶対に面倒なことになるのを予言するね。

それにしても百合姫かぁ一回見てみたいよな、黎深の世話を長年してきたって言う尊敬に値する人物を。きっと立派な人物なんだろうな、いやもしかしたら黎深に負けず劣らずの変人だったりして・・・それはないか。てか、黎深並みのやつだったらきっと紅家は当の昔に滅んでるだろうな!
あーでも邵可様がなんとかする?(考え中・・・)するわけないよね。あの人紅家とかどうでもよさそうだし、黎深とか自分の大事な人が無事なら紅家滅んでも「あぁそう」の一言ぐらいで済ませそうだし。じゃないじゃない、百合姫のことだった―――

俺が百合姫の人物像について想像をめぐらしていると、黎深が今にも掴みかからんばかりの勢いで悠舜に迫っている。


「おい悠舜!百合はどっちへ行った!?」


悠舜が「あちらの方向に・・・」と言い指をさしたときにはもう走り出していた。
おぉー黎深は百合姫にご執着だな。


「おーいれいしーん!!」


遠ざかっていく背中に一応声をかけてみたものの、絶対に聞こえていないご様子。まぁ元々止める気もそんなないけどな。


「おい、何かかあったのか?」


呆然としていた悠舜は、ここでの騒ぎにやっと気付いたのか中から出てきた飛翔を見て、はっと顔をあげた。


「すいません、これお願いします!私はすこし様子を見てきます」


飛翔に包みを渡し、杖を突きながら出来るだけ自分の一番速いペースで黎深を追いかけていく。

悠舜も律儀だな、放っておけばいいものを。痴話喧嘩は犬も食わないぞ。ついでに馬にも蹴られそうだしな。
でも、百合姫は見てみたい。(めっちゃ野次馬根性ですけど何か?)


「勝手に人のものを漁るな」

「いいじゃねぇか見るだけだ見るだけ」

「おい、飛翔!」

「んぁ?おにぎりとみかん?」


俺の葛藤をよそに飛翔と鳳珠が言い合いをしていた。
むしろ言い合いというより、包みを解いてる飛翔を鳳珠がしかっていると言う感じだけど。


「つーか飛翔くん、つい今見るだけとか言ってなかったけ?何で食ってるんだよ黎深への差し入れ」


百合姫から黎深への差し入れをなんの断りもなく食べるだなんて、ある意味すごい度胸だぞ。ほんとに―――
あー絶対あとでめんどうなことになる・・・勘弁してくれよ・・・

深いタメ息をついて肩を落としていると、鳳珠に慰められた。苦労人の鳳珠に慰められても微妙かも・・・
何その目!俺は仲間じゃないから!決してこいつら変人のおかげで迷惑を被っている苦労人じゃないから!!―――・・・きっとたぶん
だからそんな同属を哀れむような慰めるような目はヤメテー!!









<<back next>>

[BDNランキング]この作品に投票する



後書き
「地獄の沙汰も君次第」沿いになったはずなんですけど全然進んでないな・・・
原作沿いってどのぐらいとばして書くのかが難しいッスσ(TεT;)


2008/11/10