01.穴の先は魔界じゃなくて・・・?
落ちてる落ちてる落ちてる!!
穴に飛び込んだのはいいけどどんだけ長いんだこの穴!かれこれ10分ぐらいは落ち続けてるよ!
「ちょ、御華くん?長すぎないこの穴」
「・・・おかしいなー俺も何回か人間界と魔界行き来してたけどこんな長い境界トンネルは初めてだ」
「それ大丈夫?このまま永遠に穴の中とか言わないよね?」
「大丈夫じゃねぇ?その内着くだろ」
「適当め・・・」
「おっ下の方明るくなってきたぜ」
御華くんの声で下の方を見ると確かに光が見えてきた。
「本当だ。よかったーずっとこのままだったらどうしようかと思ったよ!?」
いや、確かに穴から抜けれたのはいいけど何で出てきたところが空のなの!?
いくらなんでもこの高さはやばいって!落ちたらぺちゃんこだよ!?体の中身全部飛び散って18禁な姿になっちゃうって!!
「ちょー!死ぬって!この高さありえないよ!!」
「ん?あれ?」
「御華くんどうにかして!」
「あ、あぁ・・・」
御華くんの変な様子には気付く余裕なんかない私は、半泣きになりながらとりあえず思いっきり御華くんに抱きついている。
地面に後もう少しで叩きつけられるというところで、いきなり加速が緩やかになった。
「た、たすかったぁ?」
「何?そんなに怖かったわけ?」
「当たり前じゃん!普通人間はねあんな高さから落ちたら死ぬの!18禁なの!!」
「けど、そこそこ普通じゃねぇと思うけど」
「いやいやいや、ちょーっと霊力高い普通の女の子ですよ。2,3階の高さならいけるけどあの高さはムリ」
「もうちょっと霊力の扱い方覚えたらあのぐらいの高さだったら平気だろ」
「何かそれはそれで嫌な気がする・・・あの高さが平気な小学生って・・・」
「はっはっは・・・まぁそれは置いといて、これからどうすっかなー」
私の人間としての瀬戸際なことはさらりとながして御華くんは周りを見渡した。
周りは木、木、木・・・・森だね。私たちがさっきいた自然公園の森じゃなくて、もっと深くて暗い樹海みたいな感じのところだった。
「ねぇこの辺どこかわかるの?」
「いや、全然」
「えっ!まじで!?」
「って言うかなー落ちてるとき、上から見た分じゃこの当たりに見覚えないんだよなー」
「それだめじゃん!もしかして私たち迷子!?」
「んーおかしい。俺は魔界だったらほぼ全域行ったことがあったんだけど・・・」
「そんなこと言ったって、ここわかんないんでしょ?」
「むー・・・」
「はぁ、仕様がないしとりあえず誰かいるとこまで歩こっか」
「そうだな。誰かって言ったって妖怪だろうけどな」
「うっ・・・御華くん離れちゃ嫌だからね」
ピッタリと隣の御華くんにくっつきながら森の中を歩いていくと、開けた場所に出た。
そこには何とお城が・・・吸血鬼でも住んでそうな古い中世のお城だ。
「ここ誰か住んでると思う?」
「わかんねぇ。気配はしないし・・・」
何か古すぎて、何の気配もないし空き家(空き城?)だと思うんだけど一応中に入ってみることにした。
流石!古いけど立派なお城だから門も凄い!どーんとそびえ立つ門は、これから進入する私に後ろめたい気持ちがあるのか、来客を拒んでいる印象がある。
「って言うか、この門どうやって開けるの?」
「こうやって?」
何故か疑問系で答えた御華くんは、力任せに門を蹴破った。
「うを!?・・・それはどうかと思うよ・・・」
門が半分粉々になっている。いくらS級妖怪だといってももうちょっと仕方というものがあると思う。
「まぁいいじゃんいいじゃん。気にし過ぎだって」
「御華くんは気にした方がいいと思う」
終わったことは仕方がないので門のことは強制的に脳みそから排除し、中を探索することになった。
一歩、敷地内に足を踏み入れた瞬間・・・
「ぎゃっ!!」
「っ・・・!」
槍が降ってきた。何で、何にもない空から突如槍の大群が現れてふってくるわけ!?
門を粉々にしたせい!?そしたら私は関係ないし無実だ!!
「死ぬー!!」
「!」
御華くんは逃げ惑っている私を小脇に抱えてものすごいスピードで城に駆けて行く。
私はというとパニクり過ぎて逆に冷静になりつつある頭で、城に入ったら余計に危ないんじゃないかということを考えていた。
「ふー危機一髪」
「ねぇ、城の中入るよりさっさとここ離れた方がよかったんじゃないの?」
「えー?あんな攻撃してきたやつ気になんねぇの?顔ぐらい拝んどきたいし」
「じゃーこれからそいつ探すの?この危険そうな城の中で?」
「おう!まぁの身ぐらい守ってやるから、ちょっと付き合えよ」
「・・・ちょっとだけどよ」
一息つきながら今後の方針を決めた私たちは、座り込んでいた城の入り口から立ち上がると目の前に青白っぽい人が立っていた。
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後書き
相変わらずオリキャラオンリー
最後の人は一応、創設者の蛇の人です・・・
2008/1/16