第ニ訓









白髪?くるくるテンパだ・・・こんな見事なテンパは久しぶりに見たかも
いやいやいや、今はそんなところ気にしてる場合じゃないよね。


「って君ーテンパをバカにすんじゃねぇ!あと銀さんは白髪じゃなくて銀髪だから!」


おぉーそんなにひどい怪我してるのに元気だねーおもいっきりツコッミ入れてるから血また噴出してるし


「そーさしてるのは君でしょ・・・」


おっ、ぐったりしてる。


「っとまぁふざけるのはこのぐらいにして治療しようか」

「はぁー・・・」

「それにしてもひどい怪我。そんなんでよく突っ込めたねー」


今、私の発言におもいっきり突っ込んでいたとは思えないほどの大怪我だった。
体中のいたるところから血が流れ出ているし、わき腹あたりの傷はえぐれて肉が見えているほどにひどいものある。
よくこれで意識を保っていられるなと思う。私だったら痛さで発狂しているか、気絶していだろう。(その怪我人に突っ込ましたのは私ということは突っ込まない方向で)(いやいや、そこはちゃんと突っ込んどこうよ)
治療をしている時も、相当痛いはずなのに声一つあげないでいる。
見ただけでは気付かなかったところも合わせると普通だったら全治3,4ヶ月というところだ。
切り傷、刺し傷、骨折、筋肉の断裂etc・・・とあほみたいな体の状況で、よくもまぁこんなに怪我ができたもんだと逆に感心させられた。

「一応治療はしたけど、絶対安静だからムリに動いちゃだめよ」

「―――・・・おう」

「その間は何かなぁ?本当に絶対安静だからね!!」


わかってなさそうなテンパに釘をさし、道具を片付けていると口を開くのもしんどいだろうのに私に話かけてきた。


「なあ、そういやアンタはじめて見る顔だよな?名前なんていうの?」

「そうよ、ここに治療来たのは初めてね。夜中にたたき起こされてのよ、ロン毛に。私はよろしくね?」

「ん、俺は銀時、銀さんとか銀ちゃんでいいぞぉ。っていうか何で最後で疑問系?」

「だってさー今日は緊急で来ただけだから、これからもここに往診来るとは限らないでしょ」

「来んじゃね?腕はそこそこだし、何よりむさくない。ここって男所帯だろ?だからごつくってムサい男よかアンタみたいな女の方がみんな喜ぶだろうし」

「・・・私の腕がそこそこって何よ。そらーそんな名医じゃないけどさ!男か女かで決められたくないわ!!」

「わりぃ。そらそうだ、そんなもんで判断してほしくないな」

「ん、わかればよろしい」


ふざけたテンパのわりに物分りは良いようだ。


「まぁ、そういうわけでお大事に」


治療もあらかた終わったので、話もそこそこに切り上げ腰を上げた。


(っつーか、さすが男所帯臭い半端ないわね)治療中は必死だったからか気付かなかったが酷い異臭がしている。男所帯特有の汗やらの臭いプラス、血や死臭が充満しとても治療に適しているとは思わない環境である。
それも仕方がないご時勢だと言うのも了承している。今時、攘夷志士に投資する人などほぼいなく彼らはぎりぎりの戦いをしていた。
異臭の所為で思考が色んな方向に飛んできながらも、入り口を目指していると夜中に人攫いのごとくここまで連れてきたロン毛、もとい桂小太郎が、私に向かって来る。


先生、あなたのおかげで大勢の同士が救われた。感謝する」


目の前まで来たかと思うと、急に頭を下げる小太郎君(心の中だけなれなれしく呼んでみる)


「礼には及びません。医者として当たり前のことをしたまでです」

「それでも、礼は言わしてくれ。俺たちは命を救ってもらった。攘夷志士というだけで、治療を断られることは多々ある中、あなたはこれだけの人数を一人で見たくれた」


そんな真剣な目をしてそんなことを言われたら、無理やり引張ってきたのは君でしょ!とは言えないなー


「・・・私一人じゃないわ。あなたたちも手伝ってくれたじゃないの。まっ、とりあえず私は医者なんだから怪我や病気ならどんな人だって見るよ。攘夷志士だろうと天人だろうと」


私がそういうと一瞬複雑そうな表情を浮かべたが、「そうか」と一言納得し、もう一度礼を言われた。
その後、家まで送ると言い出したので子供ではないのだから帰れると言ったのだが、よくよく考えると来たときは空は真っ暗な上、この小太郎君の肩の上でウップウップしてたものだから家までの道がわからないと言うことに気づいた。
そんなわけで私は一度断った手前情けないが案内を頼み、やっとこそ愛しの我が家まで帰ってきたわけだ。
(ほんっと疲れた・・・―――ダルーお腹すいたーお風呂入りたいー―――ってかあれ本気かなー)
断る間もなく、別れ際に「これからも頼む」と言い残していったゴーイングマイウェイな桂小太郎がいたとか何とか









<<back next>>




後書き
桂&坂本18歳、銀時17歳、高杉16歳、主人公23歳ぐらいの設定です


2008/7/19