第五話






確かここでよかったはず、ロジッタ・ファブリックのお屋敷。シャルからまわしてもらって仕事は屋敷の下働きとしてお屋敷に奉公に出された貧乏な女の子の役で時価数千億ジェニーの宝石がついたネックレスがどこにあるか調べること。出来るんだったら盗ってくる。意外と簡単かも故郷でも同じ様な仕事はよくやってたし、家の名に賭けて絶対成功させるぞ。よっしゃー!!










こちらの掃除もやっておいて」

「はい、わかりました」


「あと玄関ホールと客室もね」


「こっちもよ皿洗いと洗濯」


なにこの殺人的な仕事量は・・・ありえない、きっとこれが俗に言う新人イビリだろう。こんなじゃネックレス探す暇ないし!頑張れ私、あの修行時代に比べればこんなの軽いかる・・い・・・あの時の事思い出しちゃった―――本当に死ぬかと思ったー










「やっと夜だよーあれはどこかなぁ?私の勘じゃこの辺にある気がするな」


夜になり押し付けられた仕事を何とかこなした私はみんなが寝静まったのを見計らって、屋敷の主人ロジッタ・ファブリックのプライベートな書室にて高価なネックレスを探している。大事なものっていうのはだいたい自分の近くに置くと踏んでこの部屋を探していたらどうやらビンゴだったらしく地下へと続く隠し階段を発見した。


「よし!ビンゴ!さすが私、じゃぁ早速調べてみますか」


カーペットをめくり隠し階段の扉を音がならないように用心しながら開けて、中の様子を伺い階段を下りていった。夜目は利く方だから明かりはつけなくても問題はなく進める。階段を下り終えるとそこには金庫や高そうな壷などを飾った棚、絵画などが飾ってあった。ネックレスを探そうと思い少しうんざりし愚痴っぽい独り言をこぼしながら探し始めた。


「いっぱいありすぎるって言うのも問題があると思うんだよね。ネックレス探すの大変じゃないのぉー・・・ん?これか?違うなー・・・なんだこれ?宝箱?・・・ネックレス発見!」


ビー!!ビー!!ビー!!ビー!!


「うわ!?やば。こんなとこにトラップあるなんて!!」


お目当てのネックレスを見つけ持ち上げた瞬間に警報装置が鳴り出して、私はあせって出口に向かって走り出した。すると上のほうから足跡が聞こえて来る。


「やっぱりくるよね。どうしよっかな?あー・・・」


どうするか考えている間に屋敷のガードマンが到着した。突入してきたガードマンが私に向かって銃を向けて発射しようとした瞬間に気づいたようで


「おい、お前今日入ったメイドじゃないのか?こんなとこで何をしている?いやそんなことよりここに侵入者がいなかったか?」


「いました!怪しい人がいました!えっと、さっきそこから逃げていきました!!」


「わかった。お前も早くもどれよ」


「はーい」


・・・うん。ガードマンがバカでよかった。でも大丈夫なのかなこのお屋敷、ちょっとロジッタさんに同情だね。とりあえずネックレスはいただきます。
この屋敷の主人に同情しながらも自分の仕事があるので、ネックレスを持って屋敷を後にした。もちろん自分自身がいたという痕跡を消してから。







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2008/9/25