02.
何もわからないけれども、取り合えずずっと気になっていることがある。
変わった髪型だけど、冷静にこっちを観察している男に一言言いたい。私は貴方より年上だから嬢ちゃんはやめてほしい。そんな年じゃないから。
「あの、あなた。嬢ちゃんはやめてもらえませんか?」
「そう言われてもな、嬢ちゃんの名前聞いていないからねい」
確かに自己紹介はしていない。しかし、迂闊に自分の情報を漏らすのはどうかと思うし。あーでも、ここは異世界なのだから私のことを知っている人いないから名前ぐらいは平気かな?
「そうでしたね、失礼しました。私は・と言います」
「ん?が名前かい?」
は?ここではファーストネームとファミリーネームの順番が違うのか?
「いいえ。が名前です」
「そうかい。俺はマルコだ。こっちはサッチ」
呑気に自己紹介なんてしているけど、この人たちは海賊だろうに名前なんて名乗ってていいなのかな、それとも女一人ぐらい余裕ってことか。
後ろでサッチと言われた人は何言ってんだ?みたいな目しているけれどね。
「それじゃあ最初の質問に戻るがは何者だよい?何をしにこの船に来た?」
何者と問われてもこの世界での私の立場を確立させるものは何もない。何をしに来たと問われても私自身はここに来たかったわけではなく、勝手に来てしまっただけだと言うのに。
「わかりません」
今の私はバカみたいにこの言葉をオウム返しすることしかできない。
「わかりません。ってさっきからそればっかりだな。お前みたいなガキが能力なしでどうやってあんな変な現れ方するっていうんだよ!」
いやいや、ガキって明らかにどうみても私の方が年上だろう。私は焔と違って特に童顔ってわけでもないし、さっきからこの人たちは何だ?
「わからないからこれ以外に答える言葉がないんです。それと先ほど名乗ったと思うんですけど、子供扱いは止めてもらえませんか?」
「お前どう見てもガキだろう。喋り方は子供らしくねーけどな」
「確かにませたガキだよい」
・・・・・・子供?私が?
思わず自分の体を見下ろすと、何か体のパーツ全部小さい!?って服大きくないだろうか!?何で今まで気づかなかったのか不思議なぐらい体は小さいし、ズボンは脱げかけ、上の服がワンピース状態になっている。
これはもしかして、あれのせいか?そう言えば最後に代価をもらうとか言っていたけれども・・・それのせい!?代価と言うのは体の一部だと認識していたのに。時間?私は代価として時間を取られた?見た感じ五体満足、小さくなった以外おかしなところはない。最悪だ!こんな体では何か起こってもまともに応戦できない。女の身ということで元々ハンデがあるのに、更に不利になった。
「?何固まってだよい?それじゃあ一応確認するが、ここにいる理由も方法もわからない、敵意はないってことかい?」
ショックのあまり固まっていた私にマルコは聞いてきた。とりあえず、小さくなったことについては後に考えるとして、敵意ね・・・来たくて来たわけじゃない私に敵意に何てあるはずもなく、むしろそっちに悪意がないのか聞きたいぐらいだ。
「敵意と言われましても、私はここのことは何もわからないので・・・」
「そうかい・・・サッチ、取り合えず親父のところに連れってみるかい?」
「そうだな、俺らじゃ判断できないしな」
二人は私を親父(白ひげだっけ?)のところに連れていくと結論を出したらしい。
この場で切り捨てごめんじゃなくて安心する。何もかもわからないという怪しいガキをどう扱っていいのか測りかねているのかもしれない。そういう場合は上に判断を仰ぐのが最良というのはどの世界でも同じらしい。
「これから、親父のところに連れていくからついてこいよい」
「はい、わかりました」
ここで逆らってもいいことはないだろうと思い、素直に立ち上がると重力の関係で完璧にズボンが脱げた。こんなぶかぶかな服を着ていたら、どう考えても当り前だ。
「お前、何でそんな服着てんだよ?サイズ合わなさすぎってのにも程があるだろ」
どう答えていいものか、こんな状況になるなんて予測したこともなかったので愛想笑いぐらいしか私の口から出てこなかった。
取り合えず、ズボンは全く用をなしていなく邪魔なだけなので脱ぎ、上も重いだけの軍服を脱いだ。結果、シャツ一枚という男のロマンもしくは変態な格好となる。まぁ、シャツがひざ下まであるので支障ないだろう。下着もぶかぶかで脱げそうだけれど、その辺は気合で何とかしよう。
微妙な視線は無視。こっちだって相当恥ずかしいんだから気にしないでいただきたい。
「・・・こっちだ」
色々と諦めたような声でマルコは先導し始めた。その際、私の脱いだ服を持って。(持ってくれるなんて結構紳士?)
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後書き
やっと自己紹介できた・・・
マルコは細やかな気遣いができる人だと思う。女の人の扱いは絶対うまいね。無意識の色気、でも天然タラシではない。天然タラシはエースだと思うよ。
20100313