03.





第一印象は巨大。これは果して人間の大きさとしてありなのか?私がいくら小さくなったと言っても大きすぎである。
やはり異世界、と感心せずにはいられない。というか、そう思わないとやってられない。


「グララララ、何だぁそのちっさいのは」


いやいや、あなたに比べたら大概のものは小さいだろうと思う。


「親父、それが俺らにもよくわからないだい。何を聞いてもわからないとしか言わないから、結局わかったのはって名前だけだよい」


私についての説明をしているマルコの横で、いつもの如く横道に入って戻ってこない思考の所為で迷子気味な考えで頭はいっぱいだった。周りか会話なんて右から左という具合に流していると、急に頭の上からつぶされそうになった。いや、つぶされるというかこれは撫でられている?生憎相手が巨大すぎて私は押しつぶされているようにしか感じられないけれど。


「それじゃあ、、話すか死ぬかだ」


・・・容赦ない。こんな子供(中身は成人してだいぶたってますが)相手にそんなことを言えるとはさすが海賊。(私も似たようなことを今まで散々やってきたのはこの際棚にあげておこう。)
これは洗いざらい吐くしかないかな?これ相手に嘘は命取りの気がする。


「わかりました。私は死にたくありません。お話します」


殺気、とは何か違うこっちを圧迫するようなものを感じながら私は話す方を選択した。


「ただし、私もわからないことが多いため予想が大分入りますがいいですか?」

「かまわねぇ、話て見ろ」

「・・・結論から言うと私は異世界の人間です」

「はぁ?何言ってんだ!?」


俄かに信じがたい話にサッチが噛みついてくる。私だって真剣な場面でこんな話をされたら不快に思う。いたって普通の反応だと思う。


「サッチ黙ってろ」


しかし、白ひげの一括ですぐに黙った。威厳といい威圧感といい、大総統並みだ。


「それで、こんな姿をしていますがとっくに成人しています。国家の軍職についていました。私のいた世界では錬金術というものがあり、私は使えます。ここに来たのは、それの失敗の所為だと真理は言っていました。私自身も異世界への移動なんてものができると思っていませんでしてので、ここに来たのは偶然です。もう一度しろと言われても難しいでしょう。だからあなたたをどうこうしようなんて考えはありません。敵対する気もありませせん。最初に成人していると言いましたが、この姿はたぶん代価だと思います。何事も代価なしでは錬成できません。錬金術は等価交換が基本です。ここに来る前に通ってきた場所が『真理の扉』と言います。その場所を通ると錬金術の知識を頭に了承なしに詰め込まれた代わりに代価として何か渡さなくてはならない、それが私は時間でした。ざっと自分を見直した限りでは6、7歳手とこなので、約20年ほどとられたと思います」


この世界に錬金術があるかなんて知らないけれど、多分ないだろうと思いここに来た経緯のあらましだけ説明した。
私の話を聞き少し考えるように顎に手を置いた白ひげは口を開いた。


、気に入った。俺の娘になれ」


は?娘になる?誰が?誰の?
私の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいだ。


「行くあてはねぇんだろ?だったら俺の娘になれ」

「・・・親父、いきなりそんこと言っても混乱するだけだと思うけどねい」


意味がわからずアホ顔を晒している私にマルコが助け船を出してくれた。


「お前さんの話を聞くところによると行くあてはないんだろい?だったらこの船に乗らねぇかって話だよい」

「この船に乗る?」

「そうだ、俺たちは海賊でこの人の息子だよい」


だから私は娘ってことですか?って言うか今の聞いて誘われるなんて一ミリも思わなかった。だいたい軍属って言わなかったかな?普通、賊とつくものは国家ひいては軍の敵だろう。異世界といえど、私はこの人たちとは敵対するような職業に就いていたと言うのにこんなに簡単に決めていいのだろうか?気に入るとか入らないとかそんな問題?
と言うか、それ以前に異世界から来たって言う得体のしれない小娘に言う言葉ではないだろう。まったく思考が読めない・・・


「私は・・・」

「諦めた方がいいぞい。こうなったら誰も親父を止められないからねい」

「グララララ、俺たちは海賊だ。欲しいもんは力づくでも奪う。拒否権なんてねぇ」


拒否権なんてないらしい。ここに来たばっかりで、行く場所も目的もない私は成り行きか、偶然か海賊になるらしい。


「・・・それじゃあ、よろしくお願いします?」

「マルコ、サッチ宴の準備をしろ。新しい仲間だ!」


白ひげの声はこの船の隅々まで聞こえるんじゃないかと思うぐらい大きかった。
仲間と言われた。今まで仲間と言うものはあまり縁がなかったと思う。私自身が昇進するために、汚い手も平気で使っていたためだ。同僚だって平気で蹴落とした。上司には体で取り言ったこともある。焔やリザはどうだったろうか?私の噂ぐらいは聞いたこともあるはずなのに、平気で話しかけられた。焔には会うたびに口説かれていた。鋼の兄弟にも食ってかかられたことはあるが、避けられることはなかった。けれども、仲間かと問われればどう答えたらいいのかわからない。仲間とは何だろう?あまりきちんと考えたことがなかった。私は周りの人はのし上がるために利用していただけだ。
けれど、白ひげの言った仲間という言葉に何故か胸の奥がかき乱されるような気がした。

真理が異世界に行くのは必然だと言ったが、この場所に来ることも必然だったのだろうか。








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後書き
おやじの懐は海より広いと信じてます。たとえ得体のしれない小娘でも受け入れる器の大きさがさすがおやじ!!
むしろ私が入りたいよ!白ひげに!!

20100320