03.本当は四つ子なのに三つ子だと思われている件について
「つーかさ、お前ホント俺様だなー」
「私は自分のしたいことしかしない」
この黎深の邸に来てはや三日が経とうとしていた。
会った当初は、マジでこの俺様っぷりが頭にキて仕様がなかったが、慣れれば慣れるものだな。何ていうか、こいつはもうこう言うもんなんだ。って思えばそんな腹も立たなくなってきた。逆に邵可殿やその家族のことに関わったコイツの態度にさぶいぼが立ったと言うか、捻くれて天邪鬼なのか素直なのかようわからんやつだなという感じで、ある意味尊敬する。(嘘だけどな!)
邵可殿関係とその他のギャップが面白くて結構気にっているのも事実だ。
で、何で上記の会話かというと、俺が旅出ようとするとあの手この手で邪魔をしてくるから呆れていたところで、本当にコイツは何をしたいんだか・・・
「あのさー俺、一応これでも藍家なわけ。しかも直系よ?おまけ的存在だけどな・・・いい加減ここにいるのもしんどいんだけど」
「そうか」
「おいっ、その一言で済ますつもりかお前は」
マジで天上天下唯我独尊すぎろ。
親切とか親身とかそんな言葉を黎深に期待してるわけじゃないけど、何ていうかもうちょっと言い方ってもんがあると思うんだけどな。
「邵可殿も何とか言ってくださいよ」
「うーん、そうだね。私としてもくんにはまだいて欲しいと思っているけど、無理に引き止めるのも悪いしねー」
「あ、兄上!こんな奴に遠慮する必要なんてありません!まったくこれっぽっちも!!」
酷い言われようだ。
しかも、邵可殿も実はあんまり黎深のこと説得する気ないでしょ。
「あー・・・別に一生お前に会わないって言ってる訳じゃないんだから快く送り出せって。それにさ、やっぱり俺がここにいると色々まずいと思うわけよ。雪たちがなんかしてきそうで怖いしな」
「ふんっ、藍家の三つ子当主か」
黎深は本当に嫌そうに眉を歪めている。
底まであいつらのこと嫌いか。同属嫌悪の気がするんだけどな俺は。
と言うかさぁ
「三つ子じゃなくて四つ子だから。顔も中身も似てなくても俺もあいつらと一緒に生まれてきたんだっつーの」
そう言うと、先ほどまで嫌そうに顰めていた眉をもっとこれでもかというぐらい歪めている黎深の代わりに、邵可殿が口を開いた。
「そうだったね。くんは一番最後に産まれたって聞いたけど、あの三人の面倒を見ている姿からは年の離れた兄という感じではあったけどね」
精神的にはまったくその通りです。むしろ父親でも通るぐらいだけどな。
さすが邵可殿、観察眼が鋭い。
「まぁ、そう言う訳で俺はそろそろ旅に戻ろうかと思うんだけど」
「文ぐらいは寄こせ」
「おう。土産もつけてやるよ」
納得できないという文字を顔全体に貼り付けながらも、何とか出て行くということを許可してくれた黎深。
「それじゃ、邵可殿もお元気で。黎深も遭難中な俺を助けてくれてありがとな」
「君はまた遭難しそうだな」
「うっせーって言いたいところだけど、俺もしそうな気がする」
遭難したって何がんでも死ぬつもりはないけど!あいつらみたいな厄介な奴残して死ねるかっつーの!!
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後書き
藍家の三つ子は大っ嫌いだけど主人公はそうでもないってか無意識に懐いてるといいなと思う"ヽ(´▽`)ノ"
2008/9/10