04.男の急所を力加減なく蹴り上げれる男はどうかと・・・
黎深の家(紅家本邸)を出た後、当てもなくぶらぶらしてたら何と龍蓮にあった。
こいつは、雪たちが当主に就いたと同時に旅に出た。四歳という年で。
よくわからんけど、藍龍蓮の名前を継いだ弟に選択肢を与えるために雪たちが当主になったとか言ってたっけ?あいつら俺には詳しいこと話さないからそのぐらいの情報しかわからない。詳しく話さないということは俺が知らなくてもいいことか、知ってほしくないことなんだろうと思うから詰め寄って聞くなんてことはしない。
それにしても信じられねぇ俺とか旅に出たのつい最近だし。四歳の時なんて何してたっけ?(四歳といっても中身は年くってたけどな)毎日だらだらしてた記憶しかねぇ!
天つ才とか言うけど、こいつはまだ子供なのにな。何も出来ない俺がいえることじゃないけどさ。
「よ、元気か龍蓮」
「ぐけいその四ではないか。このようなところでなにをしているのだ?」
「それは俺の台詞だ。お前この辺治安悪いって知ってんのかよ?旅するならもうちっと安全なとこをオススメするぜ」
この当たり一帯は、盗賊やらゴロツキが良く出没するという評判の地域だ。普通の人ならまず避けて通る。
俺は腕に自信もあるし、そろそろ路銀も尽きてきたところだから盗賊狩りやらして金を工面しようとしていたところだった。
だが龍蓮の方はといえば、奇抜な格好ではあるが見る人が見ればいい品とわかるようなものをこんな子供が着ていたらいいカモにしかならない。まさに襲ってくださいといっているようなものだろう。
「やはりぐけいだな。こまっているひとがいるのにほおっておくというのはふうりゅうではない」
「・・・そう、か」
なぜそこで風流が出てくるのかは俺には理解できない。が、少なくともこの場所を小さい弟一人で行かせるということは危ないことぐらいわかる。
「あー・・・わかった。じゃあいっしょに行くか。俺もちょうど盗賊どもに用があったとこだからな」
龍蓮は何か考え込むような表情になったが、それも一瞬のことでう「うむ」と一言答えた。
「そうだ、約束事を言うぞ。危ないと思ったら逃げろ。それか俺を呼べ。他にも色々言いたいことはあるけど、とりあえずこれだけは忘れんな」
「なぜだ?わたしはだいじょうぶだ」
確かにこの弟は普通の四歳児に比べたら断然強いと思う。それに最凶の笛の音があるとしても、やっぱりこいつは子供でしかない。
今までは何とかなってきたかもしれないが、これからもそうだとは限らない。
こんなんでも可愛い弟だ。怪我なんてさせたくないと思う。死ぬなんて論外だ。
「だめだ。少なくとも俺といる間はこの約束は絶対だからな。」
俺の言葉に思うところがあったのか、不承不承ながらもうなづいた。
「ん、いい子だ」
憮然とした龍蓮の頭を軽くポンポンと叩いてやると、すこし笑ったような気がした。
やっぱスキンシップは大切だよなとーと改めて思う。
「うし、まずは宿探しだな」
寝るところがなきゃ話にならん。やろうと思えば野宿もできるが進んで背中の痛くなる外で寝たいとは思わない。しかも今は、小さい子供連れで出来るだけちゃんとしたとこで寝かしてやりたいと思うのは兄心だろう。
まぁ、当の本人は星空を見ながら寝るのも風流だとか言い出しそうだが。
「わたしはのじゅくでもかまわぬ。ほしぞらをみながらというのはふうりゅうだ」
やっぱり言った。
「だーめーでーす。外で野宿するよか、宿でふわふわの布団で寝るほうが断然体にはいいんだからな」
と、俺の意見を通し二人して宿探しをすることになった。
「はぁー・・・俺たちって泊まるとこ探してただけだよな?何でこんな小汚い路地裏なんかに引っ張り込まれてるわけ?」
とりあえず俺たちは近くの村を探し大道路を歩いていた。
そしたら横道からいきなりにゅっと手が伸びてきて龍蓮が引っ張り込まれてしまったのだ。そして龍蓮と手をつないで歩いていた俺も必然的に一緒に横道に引っ張り込まれるという構図の出来上がり。
「ふむ、ちょうどいいではないか。これでわれらのもくてきのだいいっぽというところだ」
「まぁ確かに。悪者退治しましょーって話だったからな」
普通人相の悪い、しかも小汚いし息も臭い野郎共5人に囲まれながらする話ではない。
ここはビビッて不安げな顔をするところであって、無表情(龍蓮)でもやる気なさそうな顔(俺)をするところでもないと思うのだが、俺としては寝ててもヤれそうな相手なのでまったくビビる必要なんてものはないのだ。
それに気を悪くしたのか、ゴロツキ共は不細工な顔をさらに不細工に歪め睨んでくる。
「おいおいオメーら今の状況ちゃんとわかってのかよ」
お前らの方こそわかってんのかよ。誰に口聞いてんのか
「お前らみたいなボンボンは縮こまりながら身包み全部置いていけばいいんだよ」
厭らしい笑い声を上げながらゴロツキ共は俺たちに迫ってきた。
ってか、俺たちをボンボンと言えるお前たちがすごい。龍蓮の奇抜な衣装はどう見ても一般的な感覚の持ち主じゃ理解できないものだし(だからボンボンなのか?)、俺はそこらへんの一般人と大差ない格好をしているのに。
どこをどう見てボンボンなのか・・・
「ん、キモイから触んな」
頭の中じゃそんなことをつらつら考えながらも、体は今にも俺たちに触れようとしていた手を払いのけ、ついでにもう一方の手で龍蓮を抱きかかえていた。
「ふ、ふざけんじゃねぇ!」
キモイということに切れたのか手を払ったことに切れたのかはわからないが、いきなりブチ切れた野郎は腰に差してあった剣を引き抜き、なんと切っ先を俺に向けてきたのだ。
構えも様になっていない野郎なんて全然俺の相手としては相応しくないけど、小金稼ぎのために相手してやるよ。
と、剣を向けてきたやつが動くよりも早く相手の懐にもぐりこみ足払いをかけ転ばす。そして、そいつを遠慮なく踏み潰し、ジャンプ台代わりにし次の相手の顔面に蹴りを入れる。ついでとばかりに顔面を蹴り飛ばしたやつの隣にいたやつにはエルボーを喰らわしておいた。この間計3秒もかかっていないだろう。
残りの二人は今だ状況がわかっていないのか呆然とアホ顔をしている。
「で、お前らはかかってこないわけ?」
二人は、はっと意識を取り戻し自分たちの得物を構えて襲ってきた。
ばっかだなーさっさと逃げればいいものを―――
懐に忍ばしておいた小刀を取り出し、右からかかってきたやつの剣を受け流し、そのまま男の急所を蹴り上げた。もちろん手加減なしで。残りもう一人は剣を受け流した小刀の勢いを殺さずそのままに肩口にはをぶっ刺した。その衝撃で手から刀を取りこぼしたやつの顔にお終いとばかりに一発叩き込んだ。
「お仕事しゅーりょー」
「・・・あにうえはあいあかわらずつよいのだな」
この間ずっと俺に抱きかかえられいた龍蓮は足元に倒れている野郎共を見ながらポツリとつぶやいた。
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後書き
龍蓮可愛いな!もう大好きだー!!
主人公ブラコンぎみだな・・・まっいいか。これからもっとブラコンになってもらう予定だしね(^▽^)
それにしても戦闘シーンって書くの難しいです!!
2008/9/15