続・気分は不思議の国のアリス
「ぴったりです」
「さすがヨハンさんねーかわいいわね」
「お、似合ってるぞー」
私が現在来ている服は、水色のエプロンドレスにオプションのリボンつきのカチューシャ。ついでに白ウサギの人形も。
さしずめ不思議の国のアリスだろう。
まぁここはきぐるみみたいな服じゃなくてよかったーと思い、妥協しておこう・・・ありがとうヨハンさん・・・
「で、何お前はプルプルしてるんだ?」
「大方、のかわいさに悶えてるんじゃないの?」
「っ!!!ぜひ写真を!!!」
「いやです」
崩れ落ちるA。呆れた様子のBとツネッテ。ニコニコと私をなでるデイビットさん。あぁ、いつもと全然変わらない・・・
あのセバスチャンが赤ちゃんになった時だって、最初ちょっと混乱してただけでノリは普段と変わらなかったんだもん。そら、私が縮んだだけじゃそんなに驚くほどのことじゃないよね。(自分で考えて悲しくなってきちゃった・・・)
「はぁー、ここでなやんでてもしかたないしおしごとしましょうかー」
「その姿でか?」
「ムリしなくてもいいわよ」
「いえ、おきゅうりょうもらってるみですからできることはしますよ」
「そうか、まぁがんばれ」
「ありがとうございますでいびっとさん」
デイビットさんは私の頭をわしゃわしゃとして自分の仕事に戻っていった。
「えっとーえー、びー、つねって、からだがもとにもどるまでふぉろーよろしくおねがいします」
「まかしとけって」
「おお」
「当たり前よ」
「あっ・・・」
「きゃー!!」
「―――っと、危なかった・・・」
「大丈夫か!?」
とりあえず掃除に取り掛かった私は、当然のことながら身長も低くなっているおかげで窓拭きをするのにも下のほうしか拭けない。
ジャンプをしてみたがまったくもって話にならなかった。ので、脚立を持ってこようとしたらその脚立も重たくて持ち上げた瞬間に自分自身のバランスを崩して脚立が倒れてきたのだ。それを危機一髪のところでAが受け止めてくれてという状態だった。
「・・・だいじょうぶです。えーありがとうございます」
「はぁーこうゆう重い物を使いたいときは誰かに頼めよ」
「はいすいませんでした」
「ふぅー寿命が縮むかと思ったわ」
「つねってもごめんね」
「まぁ、が無事だったからいいわ。そうねー窓拭きは危ないからツボとかの埃掃ってくれる?」
「わかりました」
うぅーもしかしなくても私ってすっごいジャマ!?みんなの足引張りまくり!?あぅ・・・ーこれは早々に元に戻らなければ!!
―――っと、この机高い。上の埃掃うのに微妙に背たんないじゃんかー
「ほ、よっと、ん・・・あっ!!」
ガッシャーン!!
「!?」
「す、すいません!!」
そう、おもいっきりツボを落とし割ってしまったのだ・・・
「あぁーこれはもうダメだな」
「うぅー・・・」
「あっ破片、は触っちゃダメよ。危ないから」
「あい・・・」
「ここは俺らが片付けるからは床拭きお願いな」
「わかりました。すいませんでした」
くっ・・・次は失敗しないようにめちゃめちゃ気をつけなければ!
「―――っふー・・・よし!この辺は綺麗になった」
次の場所を拭こうと水が入ったバケツを持ち、一歩踏み出した瞬間・・・
つるん
「え?」
ダンッ!
バッシャン!
カラーン・・・
あ、ありえない・・・自分で拭いたばかりの廊下を踏んでしまって滑ってこけた。しかも待っていたバケツの水をおもいっきりかぶって・・・
「え、えーっと・・・?」
「・・・とりあえず着替えだな」
「はい・・・」
もう自分が情けなくて涙がちょちょぎれそうだ・・・
小さくなって、身体の感覚が変わったから上手く使えていないのか失敗ばかりでお役御免になってしまった。
私は背後にズーンという文字と暗雲を背負って、服を作ってもらうためヨハンさんのところに行くことにした。
「はい。どうぞ出来ましたよ」
「ありがとうございますよはんさん」
濡れた服は脱いでバスタオルに包まっていた私は新しく作ってもらった服を受け取った。
―――着替えたのはいいが服が・・・
今度はなんと赤頭巾風だ。
真っ赤な頭巾に赤いワンピース、白いエプロン、真っ赤な靴にまたまたニーハイ。今度のオプションはバスケットだ。
作ってもらった手前、文句は言えないのでヨハンさんにはお礼をいい、仕事はお役御免になっているので時間をつぶすために庭に行ってみることにした。
洗濯物がひらひらとはためいている庭で、何故かユーゼフ様が寛いでいた。
「あれ?君はかい?」
「あっ、こんにちはゆーぜふさま。はい、そうですよ」
「ふーん。またかわいい姿になっているね」
「えーちょっといろいろありまして・・・」
「元に戻りたいんなら君のいの「けっこうです」」
「そーかい?そら残念」
もとに戻っても命がなかったら意味がないのでユーゼフ様の提案は即却下。
っていうかこの人は何でこんなに人の家で寛いでいるのだろう?(まぁ、今さらだけど)
もやもやと考えても絶対に答えが出ないようなことをムダに考えていると、お茶を入れてきたらしいセバスチャンがきた。
「これからお茶にするところだがも飲むか?」
「あーいただきます」
成り行きとはいえセバスチャンとユーゼフ様なんていう最恐コンビとお茶することになった。
二人の会話は聞いたら負けなので頑張ってムシ。背後に何か見えるとか気のせい。温度が下がってきてるのも気合で耐える。
あぁーやっぱりやめとけばよかった・・・
そんな最中に、天使の声が聞こえてきた。
「あれ?お隣さん来てたのか」
デイビットさん!本気で助かりました!!
他にもA、B、ツネッテも休憩らしくデイビットさんの後ろに続いてきていた。
「たすかったぁ・・・」
「それにしても、よくこんなところでお茶なんて飲んでたわね」
「なんか、なりゆきでつい」
「ついで命落としたらどうするつもりよ!?」
「まぁまぁ、も無事だったんだしそんなに怒鳴ることないじゃん」
「Aはだまってて!」
「はひ・・・」
天使だと思ったら実は鬼でした・・・
そして、やっとのことでツネッテのお説教から開放されたところに、へいぢの生首が!?
―――じゃなくて地面から顔を出した状態のヘイヂが現れた。
「あ、へいぢ」
「また、のこのこと現れたか虫けらが・・・」
セバスチャンが対ヘイヂ用の顔になってる・・・
「おいおいセバスチャン今俺は忙しいんだよ。お前にかまってやりたいのは山々だが、それはまた今度にしてくれるか?そして、!解毒剤が完成したぜ。ふっ・・・これぐらいは朝飯前だったぜ」
「ほんとですか!?」
「ああ、正真正銘もとに戻る薬だ」
て、ヘイヂは言うけどみんなすっごい胡散臭げな目で見ている。セバスチャンだってヘイヂの前半の答えに構えていたナイフを持ちながらも、明らかに何かあるだろうお前って目で見ている。
そういう私だって、素直には信じがたい。でも、これ以上この姿はいやなのでかなり迷いながらも飲んでみることにした。
「では、のみます」
一気にビンの中身を煽った。―――・・・マズッッ!!
そう思った瞬間体が熱くなった。
「・・・戻った?」
「!戻ってるわよ!」
「おお、戻った戻った」
今のところ副作用無で無事元に戻った。
その後、ヘイヂはセバスチャンにつかまる前に穴の中にさっさと戻ってしまい、セバスチャンがおもいっきり舌打ちをしていたとか何とか・・・
結局いつもと同じじゃん・・・
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後書き
またまた、キャラをいっぱい出すとしゃべらないやつがでてくる・・・
尻切れトンボ?
2008/1/25