Half bonds







大丈夫。今はいないのは確認したから。ってあれ?前に渡しに来た時にもこんなこと考えてた気がするなぁ。じゃなくて、返事はたぶんガユスさんにでも預けてるだろうからそれを受け取って帰るだけ


トントントン


「すいません」

「はーい。ご依頼ですか?ってこの前の子だよね?ギギナ宛の手紙私に来てた」

「はいそうです。どうもすみませんでした。あの返事を受け取りにきたんですが」

「あーごめんね。またギギナ今いないんだよ」

「そうなんですか。あのぉ返事とか預かってませんか?」

「預かってないなぁたぶんもうすぐ帰ってくるだろうから入って待ってる?」

「いえ!また出直してきます」


そういって踵を返そうとした瞬間、後ろから声が聞こえてきた。


、やはりお前だったか」


ジーザス!やはり兄上は凄いと思う私は気配を微塵も感じられなかった。後ろからのプレッシャーの生で私は振り向くことが出来ず、どうやってこの場を逃げ出すか考えをめぐらしている。私たちは玄関先で話していて後ろには兄上が、前にはガユスさんがいて、顔を上げるとちょうど正面に窓が目に入ったのでそこから逃げ出そうと決め、私の一番速い速度で駆け出したがそれはたやすく防がれた。


「この私が反応できないとでも思っているのか?」


呆れたように問いかけてくる兄上の言葉を聞くとちょっと泣きそうになり眉間に力を入れてそれを我慢した。私は猫のように後ろ襟を持たれてぶら下げられているという状況で、ガユスさんは私たちのこの一瞬の攻防を唖然としたように見ていて、はっと我に返ったようで声をかけてきた。


「お、おい。ギギナこのこと知り合いか?って言うか降ろしてやれよ苦しそうだぞ」


泣くのを我慢していた私を襟をもたれて苦しそうにしていると勘違いしたガユスさんは兄上に抗議してくれたようだ。そしてその言葉に従うのが嫌なのか私がまた逃げると思っているのか降ろしてくれない兄上に私は自分から声をかけた。


「兄上、私は逃げないのでおろしてくれないですか?」

「!兄上ぇ!!」


ビックリしたー急にガユスさんが大きい声を出すからビクってなっちゃった。


「あ、はい。自己紹介をしていませんでしたね。始めまして私はといいます。一応、兄上の妹です」

、一応妹とは何だ」

「すみません兄上・・・」


眉をひそめて言う兄上にまた泣きそうになりながら謝った。そんなやり取りを見ていたガユスさんが気まずくなった雰囲気を振り払うように明るい声で中に入るように進めてきたので三人とも事務所に入って話すことにした










「えっと、それで手紙の返事を貰いたいのですが」

「!まだ書けていない。少し待っていろ」


そう言い残した兄上は出て行ってしまって部屋に残った二人、ガユスさんと私はちょっと気まずい雰囲気の中待たされることになって居心地が悪いので出直してこようと声をかけようと思ったときガユスさんのほうから話しかけてきた


「あーちゃん?俺はガユス、ギギナとは仕事上だけの仲間?だ。それにしてもこんなかわいい妹がいたなんて全然知らなかったよ」

「か、カワイイだなんて、そんなことないです!・・・あのこんなことに巻き込んでしまって本当にすみませんでした」

「かわいいよちゃんは。いや別に巻き込まれたのはいいんだけど、理由聞いてもいいかな?」


ガユスさんは絶対にたらしだと確信して二回目のかわいい発言は無視することに決め、それから私が兄上を避ける理由を話し始めた


「はい、ガユスさんには迷惑をかけてしまったので話します。・・・私は兄上とは半分しか血がつながってないんです。母親がドラッケン族ではなく、東極の方の出身の民族だと聞いています。母親は生まれたばかりの私を父親に押し付けてどこかに逃げたらしいです。ですのでドラッケン族の血が半分しか流れていないので兄上はたぶんそのことが気に入らなくて私を嫌っているんだと思います」


そのことを話している私はきっと凄く辛そうな表情をしていたのか、ガユスさんは気遣うようにこちらを見つめている。でもこれはしょうがないことで誇り高いドラッケン族の血を私は汚してしまっているのだから。村の中でも私は嫌われ者で父親はやさしかったが一歩外に出れば父親にも立場というものがあったから私ばかりにかまけてられないのでよく村の子供たちにいじめられてきた。そんな時に姉上(兄上の許婚の人事をそう呼ぶようになった)が助けてくれてそれからも私に優しくしてくれたのだ


「いつ私がお前のことを嫌いだといった」


また気づけなかった。いつの間にか部屋に戻ってきていた兄上は私に向かってそう問いかける


「だって、兄上は私を見るときいつも怒っていました。それに避けていたし、私が戦い方を教えてほしいといった時だってだめだの一言で切り捨てたじゃありませんか!?」


目からはかってに涙が出てきて、それでも私は叫ぶように反論の言葉をはいた


「・・・私は怒っていたわけでもないどう接すればいいかわからなかったのだ。避けていた理由も同じだ。戦い方を教えなかったのはお前を戦いに出したくなかったのだが、誤解されるような態度を取っていた私も悪かったのだろう」

「え?兄上は私を嫌っていたわけじゃなかったんですか?私が半分しかドラッケン族の血が流れていないからだと」

「そんなものは関係ない。確かにドラッケン族は誇り高い一族だが、半分だろうとドラッケン族の血が流れていることに変わりはない。お前は私の妹だ」

「っあに、うぇ・・・ふっ、ひっく・・・」


止まらなくなった涙のせいでしゃべることも困難になった私を見て兄上は少し困ったような顔をした。今までなら怒っているととった表情も今はなんとなくわかる。ごめんなさい兄上でもうれし涙なのでしばらく止まりそうにありません





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後書き
一応完結?中途半端ですいません。ここまで読んでくださってありがとうございました。
原作うろ覚えだったみたいでギギナもドラッケン族の血が半分しか流れていないということをご指摘頂きました。直す気力が出てきそうにないので「これはパラレルだ!」と思いながら読んで下さいまし。本当にすいません;;
おまけがあります、よろしければどうぞ

2007/6/6