03.天使(この時はそう思ったの!)とであった日







御華くんとサラさん(もう結構仲良しなのでフレンドリーに呼んでます)と帰り方を研究しながら魔法世界をエンジョイして、もうすぐ半年が経とうとしていた。
これといってたいした研究結果もなく、御華くんはちょっと諦め気味だけど、私は絶対帰りたいと思っているのでけっこう必死こいて本を読み漁っている。もちろん私は英語なんか話せない。そんな私のために、サラさんがピアス型の翻訳機をくれたおかげで言葉には不自由しなかった。御華くんは何かもともと英語話せたみたいでずるい・・・
最初サラさんに会った時は言葉が通じてたのは、直接頭に話しかけていたらしい。そういえば変な感じはしてたんだよねー


今日は気分転換にロンドン郊外の小さな町で一人でお買い物することにした。
本当はあとの二人も誘ったんだけど御華くんは面倒、サラさんはお城から出れないからと断られて一人で行くことになったのだ。

そんなことをつらつらと考えながら、綺麗な小川のあぜ道を歩いていると私と同い年ぐらいの男の子が蹲っているのを発見した。
どうしたのだろうと近づいてみると、男の子は体のいたるところに怪我をしているようだ。


「大丈夫!?えっと救急車はないから・・・これ!君これ飲んで!」


私がポケットから出したのは、薬の入った小瓶でサラさんから持たされたものだった。私はよくその辺で怪我をするからこれで直せとくれたもので、サラさんお手製の「あらビックリどんなひどい怪我でも一瞬で治るよ☆」(命名御華)(御華はセンス悪すぎby)は本当によく効く薬なのだ。


「はい。見た目はちょっと怪しいかもしれないけどよく効くのは本当だから」


やっと顔をあげた男の子はすっごいかわいかった。半端なくかわいい。むしろ女の子かと思うぐらいで、女の私より断然かわいい。
髪の毛は黒、瞳は赤、肌の色は白。よくできた人形みたいな子だ。


「君は、だれ?」

「私?私はね・ミナミノって言うのよろしくね。君は?」

「・・・リドル」

「リドルくんね。じゃぁはい、これ飲んでリドルくん」

「いらない。僕にかまわないで」

「えっ・・・確かに飲みたくないのわかるよ?私だって最初これみたとき絶対飲み物じゃねぇ!!って思ったけど・・・でも、リドルくんひどい怪我してる。これね、すごーっく怪我によく効く薬だから、ね?」

「いらないってば!お願いだから放っておいてよ!」

「嫌よ!こんなひどい怪我してるのに放っておけるわけないじゃない。これ飲んだら構わないからお願い」


確かにこの薬は怪しい。見た目の色が変だし匂いも今まで嗅いだことの無い匂いだ。そして何より味だけど、めっちゃくそまずいわけじゃないんだけど、なんともいえない微妙な感じで本当に微妙以外にいえない味なのだ。けど、そこまで拒否されると意地でも飲ましたくなるというか・・・いやいやいや、そうじゃなくてリドルくんの傷を考えて私は必死に飲まそうとしているの。
本当にこんな怪我どうしたんだろ?こけただけじゃここまでひどくはならないだろうし・・・


「そんな変なものを見る目で見ないでよ。とりあえず飲む!ていっ」


小瓶のふたを開けてリドルくんの口に突っ込んでみた。


「っ・・・げほっ―――な、いきなり何するんだよ!?」

「だって、いい加減飲まないんだもん。男の子なんだからウジウジしてちゃダメだよ」

「だからって、いきなりは酷いよ!」

「それはごめんね。でも、ほら怪我治ってきてるでしょ?」


薬が効き始めたみたいで、リドルくんの体中にあった傷が少しずつ治ってきている。
私からしたらそれは日常茶飯事のことだけど、リドルくんは驚いて自分の体をあっちこっち見回して目が点だ。


「え、どうして・・・?」

「ほらね、見た目悪いけどよく効くでしょ?サラさんは凄いんだから」

「・・・ありがと


うつむいて、ほんとにちっさな声だったけどリドルくんがお礼を言ってくれた。
表情は見えなかったけど、耳が赤くなっているからきっと照れているんだと思う。ヤバかわいいね!!


「いえいえどういたしまして。それにしてもどうしたのこんな酷い怪我?」

「えっと・・・転んだだけだよ」

「いや、ムリがあるでしょその言い訳は―――別に言いたくないんならムリしていわなくていいけど、あんまり我慢ばっかりしてちゃダメだよ?」

「我慢なんてっ」

「我慢ばっかりして自分の中に全部ためちゃしんどいから、たまには吐き出してみるといいかもよって私の友達が言ってた」


リドルくんは全部全部、自分の中に隠して我慢しちゃってる気がするの。すごく辛そうで、私は会ったばっかりだけどちょっとでも楽になって欲しいなって思ったんだ。


「・・・・・・」

「よし!とりあえず怪我はオッケー!そうだ、リドルくんはこの町の子なんだよね?私、森の中に住んでるから友達がいないの。だからね友達になってほしいな?」

「僕と?」

「うん。リドルくんと」

「でも・・・僕と友達なんかになってもいいことなんてないよ」

「何で?リドルくんと友達になるのにいいことがあるかないかなんて関係ないよ。それに、私はリドルくんがいいの!」

「・・・うん。僕もがいい」

「じゃあ今から私たちは友達だね」


そう言って、二人でちょっとだけ笑った。
リドルくんの怪我の理由は気になるけど、話したくないのを無理やり話させるのは気が引けたからいつか、リドルくんが自分で言ってくれるのを待つことにするよ。
それにしても、こんなにかわいいリドルくんの顔に傷をつける奴の気が知れん!







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