04.リンゴ・イチゴ・ポスト・日の丸・ルビー・紅葉
「リドルくーん。あっそびましょー」
いつもの川原にリドルくんの後姿を見つけたので、その後姿に向かって大声で声をかけた。
そうするとリドルくんの体が一瞬びくっとなったのを私は見逃さなかったのだ。
「リドルくん?」
「あれ?今日は早いんだね。いつもは昼過ぎぐらいに来てたのに」
「うん。今日は1日お休みだから。それよりまた怪我してるね」
「あ、・・・うん」
「はい、いっつものやつ。あっでもちょっと改良したんだよ私が」
「え?」
「これ、なんていうか微妙な味でしょ?めちゃめちゃまずいわけじゃないけど微妙としかいえない味だから、飲みやすいようにフルーツ味を付けてみました!イチゴ、メロン、マンゴー、ブドウどれがいい?」
この薬を見るたびにこれは何とかした方がいいんじゃないかと思っていたんだけど、サラさんは味なんて飲めれば何でもいいという人で改良してくれる気なんかちっともなかったわけだ。
仕様がなく私の少ない知識で、悪戦苦闘しながら(御華くんも巻き込んで)何とか改良することに成功した。
「が作ったんだーすごいね」
「っていってもサラさんが作ったのにちょっと手を加えただけだけどね」
「それでもすごいよ。ありがとう」
「えへへ、それほどでも・・・それで、リドルくんどれにする?」
「じゃあイチゴがいいな」
「オッケー。はいどうぞ」
リドルくんにイチゴって・・・!!似合うね。やっぱり可愛い子にはイチゴだよ!
「それでさー今日はどうしよっか?」
「そうだね昨日は川で遊んだし、今日は・・・」
今日の予定をリドルくんと決めていたら、後ろの方から男の子の声が聞こえてきた。
「おい、お前何してんだよ」
「あれ〜化け物のくせに一丁前女なんかとしゃべってやがるぜぇ」
「本当だな、お前みたいな奴がそんなことしてていいと思ってんのかよ!」
男の子は3人でいかにも性格が悪そうな顔をしている。
その中でも一番からだが大きいリーダー格の子がリドルくんの前まで来たかと思うと、いきなりリドルくんの胸倉を掴みあげた。
「っ・・・!」
「ちょっと!何してるのよ離しなさいよ!」
「あぁ?うっせーな・・・お前、こんな化け物と一緒にいるってことはお前も化け物なのかぁ?」
「はぁ?化け物って何よ!意味わかんない!!そんなことよりその手離しなさいって言ってるでしょ!!」
「ぎゃーぎゃー喚くなよ。関係ない奴は黙っとけつーんだ」
いい加減ムカついてきて、今だにリドルくんを掴んでる奴のお腹を一発殴る。
(もちろん手加減はしてるけどね。御華くんに修行してもらって身だから普通の子供よりは威力あるし。)
そしたら掴んでいた手も緩んだので、その隙にリドルくんの手を引いて駆け出した。
男の子たちが後ろの方で何か喚いているのが聞こえたけどムシして、追い付かれないであろう場所まで逃げ切って足を止める。
「はぁはぁ―――・・・リドルくん大丈夫?」
「ぅ、うん」
全力疾走して荒くなった息を整えながら今さっきの奴らを思い出していると、余計にムカつき度が増して気がする!いや、気がするじゃなくてマジでムカついてきた。
「もぅ、あいつら何なのよ!マジでムカつく」
「ごめんね」
「何でリドルくんが謝るの?悪いのはさっきの奴らでしょ?」
「ううん。違うんだ、あいつらは僕のことを狙ってたから・・・だから、僕のせいでまで迷惑かけちゃってごめんね」
「狙う?そういえば、あいつら化け物とか何とか言ってわね。もしかして・・・」
「うん僕のことだよ。・・・いじめられてるんだ。僕、孤児院の中で気持ち悪いって、あの子達だけじゃなくて他のみんなにも」
「な、何で!?気持ち悪いって何が!?」
「目だって。目が真っ赤なのが血みたいで気持ち悪いって」
「全然気持ち悪くないよ!綺麗だよ血の色いいじゃない。人間生きてるから血がめぐってるわけだし、赤色なのは血だけじゃないよ!リンゴ・イチゴ・ポスト・日の丸・紅葉・えーっと宝石にも赤色の奴あったよね?ちょっと考えただけでもこんなに出てくるのに他にもまだいーっぱいあるよ。だから全然気持ち悪くなんかない。すごーく綺麗!」
「本当?本当に気持ち悪くないの?」
「もちのろん!!私は大好きだよその目」
「ありがとう」
ぎゃーキターーー!!
ヤバッ!一瞬魂抜けるかと思った。リドルくんが笑ったんだけど、凶器になるね。女の子なんていちころだよ。
それにしても、虐められてるとか大問題だ。あの怪我はそういう訳だったんだ・・・
「い、いえいえ本当のことだし。―――でも、孤児院に帰るのは困りもんだな・・・」
「ううん大丈夫。がいつも怪我治してくれるから全然平気だよ?」
「うぅ・・・リドルは喧嘩はあんまり得意じゃなさそうだし・・・あっ!そうだ私の家においでよ。それがいいって」
「の家?」
「うん、そう。って言っても私も居候の身なんだけどサラさんはいい人だから、きっといいって言ってくれるよ」
「でも、そんなこと急に言ったって・・・」
「大丈夫だって!サラさんにお願いしに行こ!」
サラさんに頼み込めば何とかなると思い私は自分のひらめきに拍手しながら、リドルくんの手を引張ってお城のほうに走っていった。
リドルくんの目が気持ち悪いなんていうこのほうがきっとどうかしてるよ。
私はリドルくんの目が本当に綺麗だと思ったんだもん。
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後書き
なかなかにゴーイングマイウェーな主人公ちゃんなのであった。
2008/2/5