04.何様俺様哀川潤様
ったく、あいつは人を呼び出しておいて自分は遅刻かよ
ほんといい身分だな、何様俺様哀川潤様め!
帰んぞ後10分たっても来なかったぜってぇがっ!!!・・・
「っってー!!」
「よぉ。あんまボーとしてるもんだからこれはてっきり蹴飛ばしてほいしのかと思ってよぉ」
「お前マジでいてぇよ!つーか人呼び出しておいて遅刻してさらにそれかよ!ありえねー。だからいやだったんだよお前との仕事は」
「そんなこと言ったら悲しくてないちゃうぜちゃん?」
「あーはいはいかってに泣いててくれ。そんで干からびてしまえ。俺の平和のために、いや世界の平和のためにだ。はー、そんなことよりさっさと仕事片すぞ」
「あーそうだった。そういや仕事だったけな」
「ってお前忘れてたのかよ!俺が何のためにここに来てると思ってんだよ。俺だってお前が無理やり仕事手伝わせなきゃ今頃家で日夜に癒されながらくつろいでるとこだったんかんな」
「とりあえずこのビルの最上階にある社長室のどっかにある隠し通路見つけとけよ。そんじゃぁな」
「はぁ?ちょ、おい、潤・・・」
あいつありえねぇほんとにマジでありえねぇいつも思ってたことだけどいい加減にしやがれってんだ!
人の話は聞かない、自分の言いたいことだけ言っていなくなるとかそれが無理やり仕事頼んだやつにする態度か!?
あーこのまま帰ってやろうかな、帰ったら家まで乗り込んできて・・・つぶされそうだ俺と日夜のマイホームが―――しゃーない行くとするか、どうせここまで来たんだしな
絶対今度ややこしい仕事押し付けてやるかなマジで
島崎コーポレーション、この会社は社長の島崎久樹が自分一代で築いたもので結構大規模だ
一般には食品や薬品、医療方面に手を出している。ただしそれはあくまでおもてむきの顔で裏では武器の密輸や麻薬の精製などの違法なことをしている
って言うのが日夜が調べた島崎コーポレーションの活動内容
探られたら痛い腹があるせいか警備も厳重でセキュリティーも最新式のものを入れている
俺は警備の手薄になっているビルの裏口に回りそこにいた二人の警備員に近づいた
「おいそこのお前とまれ。ここは立ち入り禁止だぞ」
「すいません。ちょっと道に迷ったみたいなんですけどここわかります?」
そう言いながら用意していた地図を一人の警備員に見せ、その警備員が地図を覗き込んだ瞬間首に手刀を落としもう一人にも武器を出させる間を与えずに鳩尾に蹴りを一発
警備員二人を気絶させ縄で縛り上げた俺はこれまた用意していたIDカードとここの研究員に化けるための白衣を身に着けて裏口から中に進入した
そこらへんじゅう監視カメラとか警報装置だらけだなぁこれだけしてても侵入されてたらせわねぇぜ
コントロールルームは確かこの辺だったはず・・・っと発見
IDカード差込指紋認証システムに手を合わした
もちろん手には樹脂で作った極薄の他人の指紋を写し取った手袋着用で
ピー
IDバンゴウ8828ニンショウシマシタドウゾオハイリクダサイ
抑揚のない機械の声と同時に扉が開き俺は中に足を踏み出した
中には人はいなくコンピューターの機械音だけが響いている
家で日夜に渡されたチップをメインコンピューターと思われるコントロールパネルにセットした
俺は機械類の扱いは得意とは言えないのでこういうのは全部日夜に任せているのだ
そういうわけでここのセキュリティーシステムを落とすためのチップらしく機械類が得意じゃない俺は大人しく指示に従ってセットした
そしたらいきなり画面が切り替わってわけのわからない数字の羅列が出てきて、日夜の声も聞こえてきた
『ちゃん聞こえてる?』
「聞こえてるけど、一体全体どういうことなんだ日夜?」
何でチップをセットしたら日夜の声が聞こえてくるのか全然わけがわからない
どうなってんだいったい―――ハテナを飛ばしている俺を見て日夜はこのカラクリの説明をし始めた
『あのねちゃんはきっとセキュリティーシステム解除できないだろうと思ったからこっちにつないで日夜が解除するの。そこのコンピューターは外部からの進入ができないような設定になってるから中からそのチップで外部と接続できるようにしてるんだよ。だからそれをセットすると自動的に日夜のところと繋がるようになってるの』
「へーさすが日夜だな。どんくらいで出来そ?」
『んー・・・出来た!今から30分はセキュリティーシステムは作動しないし中と外の通信もつながらないから応援も呼べないよ』
「サンキュー助かった。じゃあすぐこれ片して帰るからいい子にして待ってろよ」
『うん!早く帰ってきてね』
「ああ、またな」
日夜との通信を切って最上階に急いで向かった
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後書き
2007/8/12